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【日本】岸田政権、原発再稼働で「総力」。国が地元との対話を牽引。安全評価は当事者企業が主体

 日本政府は4月28日、内閣官房長官が主宰し、経済産業相、外相、文部科学相、環境相、閣府特命担当相(科学技術政策)、内閣府特命担当相手(原子力防災)が構成員となっている原子力関係閣僚会議を開催。「今後の原子力政策の方向性と行動指針」を決定した。

 まず、既存の原子力発電所の再稼働に向け関係者の総力を結集するとし、原子力発電が地域社会に資するというブランドを確立できるようベストプラクティスを共有するとともに、経済産業省が主導して「地域支援チーム」の創設し、地域の理解活動や避難計画の策定・充実に向けたきめ細かい支援を展開する。国が主導し、立地自治体の首長、幹部、管理職、担当者等の各層での対話を牽引する。ウェブ、SNS、新聞媒体等の促進キャンペーンも展開する。

 稼働上限期間の延長では、「運転期間40年、延長20年」の現行と同じ制限を設けた上で、東日本大震災発生後の法令変更、行政による指示、裁判所命令等で運転停止期間についてはカウントに含めない方針を決めた。これにより、場当たり的に時間稼ぎを行う。東日本大震災発生後の稼働停止のみを対象とすることの蓋然性については説明されていない。さらに、前述のキャンペーンで世論の理解を醸成した後、稼働期間の正式延長についても踏み込む考えを示した。

 設備利用率を向上する上での安全性については、原子力発電所を保有している大手電力会社と原子力発電メーカーで構成する原子力エネルギー協議会(ATENA)が実質的な議論を担う。推進者が安全性ルールを検討する歪な構造となる。

 原子力発電の研究開発では、足元の安全性を確保するためにも、人材の維持・強化が必要とした。廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを対象として、六ヶ所再処理工場の竣工等のバックエンド問題の進展も踏まえつつ具体化を進める。その他の開発・建設は、各地域における再稼働状況や理解確保等の進展等、今後の状況を踏まえて検討していく。こちらも原子力エネルギー協議会(ATENA)が主導的役割を果たす模様。「次世代革新炉」を標榜しているが、具体的な技術分野は記載されていない。

 長期的な基礎的研究の方向性の整理は、文部科学省、経済産業省、環境省原子力規制委員会が共同所管する日本原子力研究開発機構(JAEA)が中心となって「今後10年以内に」行うとした。高速実験炉「常陽」の再稼働に向けた取組や大型ナトリウム試験施設「AtheNa」の整備をその中に位置づけた。

 懸念となっているバックエンドの対策では、使用済燃料の再処理について、日本原燃が六ヶ所再処理工場の新たな竣工目標実現に向けて規制当局との緊密なコミュニケーションを通じて効率的に進める。プルサーマルでも経済産業省がプルサーマルを推進する自治体向けの交付金制度の創設する等、地元理解を促進する。最終処分については、「関係省庁連絡会議」及び「地方支分部局連絡会議」を新設。国が総力を挙げて結着させる。すでに、原子力発電環境整備機構(NUMO)は立候補した北海道寿都町と神恵内村で2020年11月から文献調査を進めているが、文献調査の実施地域をさらに拡大させる考え。

 廃炉に向けては、経済産業省所管の使用済燃料再処理機構が、廃炉全体の総合的なマネジメントや拠出金制度等の創設に動く予定。廃炉に要する費用を含め、認可法人が行う業務全体の費用に充てるため、事業者に対して、拠出金を認可法人に拠出することを義務付ける。拠出金は30年程度の分割になる見込み。

 サプライチェーンでは、プラントメーカーによる、サプライヤーの実態把握・供給途絶等のリスクの事前把握態勢を構築。地方経済産業局が、原子力関連企業の実情把握・恒常的な情報提供、足下の経営課題へのアドバイスや支援ツールの紹介等に向けた相談窓口を設置する。国が事業承継や技術承継を主導する。サプライヤーが十分に育つまでの支援策として、海外プロジェクトへの参画を位置づけ、国が支援していく。国、関係機関、主要メーカー等の連携し炉型別チーム」を編成する。

 岸田政権では、エネルギーについて「エネルギー供給における『自己決定力』の確保」という概念を多用している。言葉の定義は明確ではないが、海外から輸入している化石燃料の依存度減を指していると解されている。論理構造としては、原子力発電所は「エネルギー供給における『自己決定力』の確保」のために必要であり、将来的にも全体の3分の1以上は原子力発電が不可欠という姿勢をとっている。だが今回の方針でも「新設」に関する記述は避けた。

【参照ページ】「今後の原子力政策の方向性と行動指針」を決定しました

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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