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【ドイツ】世界を代表するスキンケアブランド「NIVEA(ニベア)」を支えるサステナビリティ戦略

今回ご紹介するのは、ドイツのハンブルグに本拠を置くグローバルスキンケアメーカー、Beiersdorf(バイヤスドルフ)社のCorporate Communications & Sustainabilityを統括するVice President、Inken Hollmann-Peters氏のインタビュー。

Beiersdorf(バイヤスドルフ)という名前は聞いたことがのないという方でも、同社を代表するブランド「NIVEA(ニベア)」や、「8×4(エイトフォー)」などは馴染みがあるという方も多いのではないだろうか?

日本では同社と花王が設立した合弁会社、ニベア花王が「NIVEA」ブランドを取り扱っているが、NIVEAはもともとはBeiersdorf社のブランドだ。同社は明確なサステナビリティ戦略を持って事業に取り組んでおり、日本企業が参考にできる点も多い。

同社は世界を代表するスキンケアメーカーとして"We care"というサステナビリティビジョンを掲げており、その戦略の柱としてPlanet、Products、Peopleという3つの分野を掲げている。そして、それぞれの分野には下記の通り、明確な対象領域と目標が定められている。

Products

  • Raw Materials(原料):サステナビリティに関する基準をリサーチや原料調達、ビジネス慣習に組み入れる。
  • Packaging(パッケージ):パッケージを最小化し、代替可能でより持続可能なパッケージを開発することで資源保全に貢献する。
  • Consumer Engagement(消費者とのかかわり):積極的に消費者とかかわり、より地蔵可能なライフスタイルを取り入れるように促す。

Planet

  • Energy(エネルギー):エネルギー使用量を削減できるソリューションを開発し、技術的に実現可能な形でより環境にやさしい資源の利用へと置き換える。
  • Waste(消費):使用しない・削減・再利用・リサイクルというポリシーを追求し、自社のサプライヤーと密接に協力することで可能な限り無駄な消費をなくす。
  • Water(水):製造工程や建築、その他の分野において水の消費量削減に継続的に取り組む。

People

  • Employee Health & Safety(従業員の健康と安全):会社横断の事故ゼロプログラムを実施し、従業員の健康と幸福を守るために積極的に取り組む。
  • Employee Engagement(従業員とのかかわり):従業員の個人的なつながりを強化し、従業員が成長できる枠組みを提供する。
  • Social Responsibility(社会的責任):自社の戦略目標や価値、グローバルのプレゼンスに一致する地域やグローバルの社会的イニシアティブを支持する。

また、同社では"Our Commitments for 2020"としてPlanet、Products、Peopleそれぞれの領域において下記のような具体的な数値目標も掲げている。いずれも高いハードルを掲げており、同社がサステナビリティに本気で取り組もうとしている覚悟が見て取れる。

  • Planet:2020年までに売上の50%を環境負荷を大きく削減した製品群から生み出す
  • Products:2020年までに製品売上あたりのCO2排出量を30%削減する
  • People:2020年までに100万世帯の生活を改善する

Inken Hollmann-Peters氏は、Product分野における具体的な取り組みとして"NIVEA men"のコスト削減事例や、自社製品の環境ホットスポットを認識するためのライフサイクルアセスメントの導入などを挙げている。

また、Planet分野ではロジスティクスの改善によりCO2削減に取り組んでいるほか、新たに建設中のメキシコの製造センターではLEED(Leadership in Energy & Environmental Design:米国の非営利団体グリーンビルディング協会が開発・運用している、環境に配慮した建物に与えられる認証システム)の取得を目指しているという。

そして、Peopleの分野については世界中の家族の生活水準向上を目的としたプログラム"NIVEA cares for family"を従業員のエンゲージメントにも取り入れており、従業員のボランティア活動を可能にしているとのことだ。

こうした同社の戦略的な取り組みを可能にしているのが、同社のサステナビリティマネジメント体制だ。ホームページ内にあるOur Sustainability Managementを見て頂ければ分かる通り、同社のグローバルなサステナビリティ推進体制はトップであるCEOによって直接管理されている。役員は各自がサステナビリティ戦略の立案と実行に責任を負っており、CEOをレポートラインとするコーポレートサステナビリティ部門によってサステナビリティ戦略が推進されている。

コーポレートサステナビリティのマネジメントチームはインタビューに出てくるInken Hollmann-Peters氏を含む4名で構成されており、それぞれHead of Environmental Sustainability & Safety、Global CSR Manager、Head of CSR Headquarters&Stakeholder Managementという役職を持っている。このようなサステナビリティ戦略を経営の中心に据えた組織体制を構築していることが同社の強みと言えるだろう。

インタビューの最後で、Inken Hollmann-Peters氏は「全ての従業員は、サステナビリティについて、また自分自身が個人としてサステナビリティにどのように貢献できるかについて考え続けるべきだ。なぜなら、結局のところ最後はたくさんの"I care"でしか "We care(同社のサステナビリティビジョン)"を実現できないからだ。」と語っている。

NIVEAに代表される同社のブランドを支えているのは、CEOのトップコミットメントに基づく明確なサステナビリティ戦略とそれを実現する組織体制、そして何よりも、従業員ひとりひとりなのだ。

【企業サイト】Beiersdorf
【サステナビリティページ】Sustainability

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