今回ご紹介するのは、今年の6月16、17日に米国国務省が主催した、持続可能な漁業のあり方を考える会議「Our Ocean Conference2014」のイントロダクション動画だ。現在の漁業がもたらしている悪影響や現在の危機的な状況、海洋資源の大切さを具体的な数字と共にとても分かりやすくまとめてくれている。
動画の冒頭で「我々は海洋資源をあまりにも過剰に搾取しすぎてきた。限度があること、そして後戻りできないことを忘れている」と警告するのは、米国の海洋生物学者Sylvia Earle氏だ。
海は豊富な生物を育み、長らく人類のニーズを満たしてきた。しかし近年では、人口増や経済発展に伴う需要増加と持続可能ではない漁法により、何百万もの海産物や魚類が乱獲され海洋の生態系が破壊された結果、世界各地で大きな問題が起こっている。たとえば、世界にある漁場の57%は現状以上の漁獲が期待できなくなっており、既に30%は過剰な乱獲により海産物が枯渇している、というデータが発表されている。
また、世界中で約10億人 が日常の食生活における主なタンパク源として海産物に依存している。そしてその多くは、貧困にあえぐ途上国の人々だ。海産物は世界の食料安全保障において非常に重要な役割を担っていることがわかる。
さらに、5,000万人以上が漁業や水産養殖の仕事に就いており、その多くは地域経済に不可欠な小規模の漁場で働いている。海は人間に食料を供給するだけではなく収入源としても経済に大きく貢献しており、持続可能な漁業の実現が世界共通の喫緊テーマとなっているのだ。
このような世界共通の深刻な問題に立ち向かうべく、「Our Ocean Conference2014」では専門家や法律家、政策立案者らが集まり、政府や企業、NGOらによる様々な取り組みが共有され、持続可能な漁業の実現に向けて話し合われた。
会議の成果としては、「持続可能な漁業」「海洋汚染」「海洋の酸性化」という3つの課題に対して米国政府およびその他の国家が国際レベルで協力し合い、解決に取り組んでいくための具体的なアクションプラン「Our Ocean Action Plan」および、政府の代表者、国際機関、市民社会らによる海が抱えるサステナビリティ課題へのコミットメントを明示した「Our Ocean Initiative」が公表された。
アクションプランでは期限付きの具体的な目標が多数掲げられており、今後米国政府は海の問題に対してグローバルに協力体制を築きながら、目標達成に向けて取り組んでいくことになる。
当日のカンファレンスの様子やインタビュー動画などは下記から数多く閲覧可能なので、興味がある方はぜひ見て頂きたい。
【参考サイト】Our Ocean 2014
【参考サイト】Our Ocean Action Plan(PDF) / Our Ocean Initiative(PDF)
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