【レポーティング】SASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)を徹底解説 2014/10/05 体系的に学ぶ

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急速に存在感を高めるSASB

SASB。正式名称はSustainability Accounting Standards Board(米国サステナビリティ会計基準審議会)。日本ではサズビーとも呼ばれています。日本ではまだ知名度の低いこのSASBは、いま国際的に業界に大きな影響を与えるひとつと見られています。

これまでサステナビリティ報告やCSR報告と言えば、GRIとIIRCが大きく認知されてきました。特にすでに第4版まで更新されてきたGRIは、今では多くの日本企業がサステナビリティ報告やCSR報告をする際に準拠されており、デファクトスタンダードとなるに至っています。また、IIRCも今年春にようやく第1版が誕生し、これまで分断していた財務報告とCSR報告を統合するためのスタンダードを提供し、欧米の企業ではIIRCの考え方に則った財務とCSRを一体として捉えるアニュアルレポートを発行しているところも出てきています(Novo NordiscやSAP)。

そしてSASB。GRIとIIRCと日々格闘している担当者の方からすると、「またひとつ増えた。もうこれ以上はフォローアップできないよ。」と思う方も少なくないでしょう。一般的にGRIは国際標準、SASBは米国標準と区別されたりしていますが、実はこの捉え方は大きな誤解を生むため、決してオススメできない整理の仕方です。GRIとIIRCが対立する概念でないのと同様、GRIとSASB、IIRCとSASBとは、お互い守備範囲が違うものであり、どちらも自分の守備範囲ではカバーしていない領域を補完しあっています。では、SASBとは一体何なのか?先週、アメリカのボストンで開催されたSustainable Brandsのイベント「SB New Metrics ’14」のワークショップで、直接SASBのディレクターからSASBについてのトレーニングを受けてきました。今回は、イベントで議論された内容を踏まえつつ、SASBを徹底解説していきます。

SASBの最大の特徴は「マテリアリティ」の特定

サステナビリティ報告や統合報告を担当する部署にとって、目下の大きな悩みである「マテリアリティ」の特定。GRIのG4で強く打ち出された骨子であり、G4準拠のためには避けて通れない道です。GRIがマテリアリティ特定のために推奨しているアクションが、ステークホルダー・エンゲージメントです。すなわち、企業の長期的な成長に重要な影響を与えるステークホルダーとコミュニケーションをとり、自社にとって「マテリアル(重要性の高い)」なイシューを特定していこうということです。しかし、これが難しい。話し合って決めなさいと言われても、重要なイシューは言う人によって違う、共通の尺度がない、恣意性を排除していいのか、などなど、報告担当部門の悩みはつきません。

一方、SASBはマテリアリティに関しては、GRIと共通に重要だとしながらも、全く異なるアプローチを取ります。GRIのアプローチは言うなれば、「各社でそれぞれ議論しながらマテリアリティを特定していください」というもの。それに対してSASBのアプローチは、「業界ごとにマテリアルなイシューは自ずと存在している。業界ごとに何がマテリアルなのかは一律に業界ごとに審議して特定すればいい。」というものです。なんとSASBの体系においては、各社が必死にマテリアリティを特定する必要がなく、業界ごとにすでに特定されているマテリアルなイシューをちゃんと取り組みましょうということになるのです。この違いはとてもとても大きいものです。では、SASBが定めている業界ごとのマテリアリティとは一体何なのか?それはこの記事の後半にご紹介するとして、その前にどうしてSASBがこのようなアプローチを取るに至ったのかを見ていきましょう。

SASBは非財務情報の意味付けを絞って定義付けした

SASBはスタンダードを構築する上での大原則として、

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