SSE(Sustainable Stock Exchanges Initiative:持続可能な証券取引所イニシアティブ)は10月14日、スイスのジュネーブで行われたUNCTAD(国連貿易開発会議)のWorld Investment Forumの中で過去最大規模となる4回目のグローバルダイアログを開催した。
この会合は世界各国の証券取引所や企業、機関投資家が、政策決定機関や監督機関の上級幹部と顔を並べ、現在の資本市場が直面しているサステナビリティに関わる機会と課題について理解を深め合い、リーダーシップを発揮するためのグローバル・プラットフォームだ。現在SSEは世界16の証券取引所と提携しているが、当日は20以上の証券取引所の経営幹部が集まった。
当日は、世界55の証券取引所によるサステナビリティ・イニシアティブの推進状況をまとめた”The SSE 2014 Report on Progress”が発表された。同レポートは、世界55の証券取引所でサステナビリティへの取り組みが大きく前進していることを指摘しており、サステナビリティ報告やサステナブルな事業慣行の推進に関する優れた取り組み事例や、現在までの進捗状況などが紹介されている。
一方で、投資分野には果たすべき役割がまだまだ十分残っていることや、サステナブルな資本市場を実現する上での構造的な障壁に直面した場合でも、政策決定者や証券取引所がサステナビリティを推進できるよう、より実用的な基準が必要とされていることにも着目している。
国連グローバルコンパクトのGeorg Kell事務局長は席上で「サステナビリティの重要性に着目し、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点から評価を下すことによって、投資家はますます企業に行動を促す重要なレバレッジポイントになってきている」と評価するなど、投資行動が持続可能な発展の分野で大きな影響力を持っていることが改めて確認された。
さらに、ロンドン証券取引所やナスダックなどSSEと提携している証券取引所、SSE Partner Exchangesは2014年から2016年にかけて、自らの証券市場でコーポレートサステナビリティを推進していくにあたってのコミットメントを公式に発表した。個別のコミットメントとしては、サステナビリティに関する国家レベルの対話の実現、ソーシャルインベストメントファンドへ専門ノウハウの提供、上場会社の開示要件の分析などが挙げられる。
注目すべき動きは他にもある。ピレリやブルームバーグのような企業がSSE Corporate Working Groupへの参加を表明したのだ。彼らはコーポレートサステナビリティの促進にあたって証券取引所が果たす役割を支援していくことを会合の場で確約した。このワーキンググループには企業の意見や意向を伝える他、SSEが必要とした時に勧告や専門的見地からの意見、知識を提供することが期待されている。
証券取引所は、投資家に対するサステナビリティ投資の推進、上場企業に対するよりサステナブルな事業慣行の推進という、投資家、企業双方の行動を変える仲介者としての役割を担うことができ、その影響力はとても大きい。SSEの強力なリーダーシップのもとで世界中の証券取引所が同じ方向を向き、動き始めている。
【レポートダウンロード】The SSE 2014 Report on Progress
【リリース原文】Report Finds Substantial Progress on Sustainability Initiatives at 55 Stock Exchanges
【団体サイト】The Sustainable Stock Exchanges initiative
【関連サイト】UNCTAD / 国連グローバルコンパクト / 国連環境計画 ファイナンスイニシアチブ / PRI
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら