米小売大手のセイフウェイと米フェアトレード推進機関フェアトレードUSAは2月24日、新たにフェアトレード認証を受けたシーフードの北米市場への展開に向けて提携すると発表した。同プログラムはインドネシアの小規模漁業が捕獲している天然マグロから始まったシーフードに関わる世界で初めてのフェアトレード認証で、認証を受けたマグロは3月から北カリフォルニア、ポートランドおよびシアトルのセイフウェイ店舗で販売され、今後、他地域にも展開される予定だ。
4年間に渡る研究および専門家、NPOらとの協議を経て、フェアトレードUSAはフェアトレード漁業プログラムを開始し、フェアトレード認証商品の数を増やしてきた。同プログラムの目標は、貧困に苦しむ沿岸部の生活力向上、労働・生活状況の改善、責任ある形で調達されたシーフードの需要・供給の増加、そして環境保護への取り組みを強化することだ。
フェアトレードUSAで新分野のイノベーション担当役員を務めるMaya Spaull氏は「フェアトレードのホリスティックな取り組みは健全な漁業コミュニティと海を維持する上で重要な役割を果たすだろう。セイフウェイの顧客らが、日々のシーフード購入を通じて長期的な変化を生み出す最初の人々となることを我々は嬉しく思う」と語った。
コーヒーやお茶、ココア、花などのフェアトレード製品と同様、漁業プログラムでは水産業者らに対し、厳格かつ独立監査を受けた基準に従って取引を行うことを要求している。基準の中には基本的人権の保護、強制労働、児童労働の防止、安全な労働条件の規定、労働時間と手当の管理が含まれる。
また、同フェアトレードでは、漁業組合同士の協働を促進するために、漁業組合らはフェアトレード認証を受けたマグロが売れるたびに卸売価格の10%をコミュニティ開発費用として受け取り、教育やヘルスケアなど、地域社会が必要とするプロジェクトに共同で投資できる仕組みが提供される。
セイフウェイのサステナビリティ担当役員を務めるChris Ratto氏は「フェアトレードとの連携は、我々のサステナビリティ戦略と2015年までのシーフード目標に沿ったものだ。我々は、オーガニックコーヒーやコスタリカからのパイナップルなどに、加え、新たにマグロをフェアトレード認証商品に加えられることを嬉しく思う」と語った。
米国では小売業が起点となりサプライチェーン全体のサステナビリティを推進する動きが進んでいるが、今回のフェアトレード認証への取り組みもその一つだ。最終消費者に一番近い小売業による積極的な取り組みは、サプライチェーン全体に大きな影響をもたらす。フェアトレード認証を通じて実際にどれだけ新興国の漁業コミュニティのサステナビリティが改善されるのか、今後に期待が集まる。
【企業サイト】Safeway
【団体サイト】Fair Trade USA
(※写真提供:Ken Wolter / Shutterstock.com)
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