米スターバックスは4月6日、昨年6月に始まったアリゾナ州立大学との提携による奨学金制度の規模を拡大したと発表した。対象となるのは米国の従業員で、アリゾナ州立大学のオンライン学位取得プログラムの学費の全額をスターバックス社が負担する。なお、学位取得後にスターバックスに残る義務はなく、奨学金の返済義務もない。
スターバックスは上場企業としてのCSRの一環としてこの奨学金制度を開始。奨学金を通じて従業員の将来のキャリアにおけるチャンスを広げることを目指している。これまでは同社が負担する学費は大学3、4年次に限られていたが、今後は米国で働く従業員は定時制、全日制を問わず全額奨学金を受けながらアリゾナ州立大学のオンライン学位プログラムを通じて4年制大学の学位を取得することができるようになる。
「誰もがアメリカンドリームを見るチャンスを持っている。しかし、残念ながら多くのアメリカ人、特に不利な状況に置かれた若者は、大学の学費が払えない。また、奨学金の返済に追われている人も多い。4年制大学の学費全額を負担することで、我々は従業員に人生における大事な道具を与えています。成功への道を国民みんなに与えることで、この国はもっと強くなる」とスターバックスCEOのHoward Schultz氏はコメントしている。
アリゾナ州立大学のオンライン学位取得コースで取得できる学位は49種類。今まで約2000人がこの制度を利用しており、スターバックス社は2025年までに25,000人以上に学位を取得させる目標だ。そのための投資額は10年間で2億5000万ドル以上に上る。
アリゾナ州立大学は世界のランキングで100位以内に入っており、オンライン学位プログラムの質にも定評がある。 学長のMichael Crow氏は「この学位取得プログラムを通じて、革新的な企業が先進的な考え方の大学と協力すれば、どんなことが成し遂げられるかを示せたと思っている」と述べ、より多くの人々に高等教育の機会を提供できると喜んでいる。
また、米国教育省長官Arne Duncan氏もこの取り組みを高く評価。「このような革新的な戦略があれば、より多くの学生が教育を受ける機会を得られます。他の企業、大学にも取り組んでもらい、高等教育を手の届くものにしていきたいです」と、期待を寄せている。
返済義務のない奨学金で働きながら学位を取得できる夢のような制度として評判となっているスターバックスの取り組みだが、同社がここまで積極的に従業員支援に取り組む背景には、米国小売業の労働市場における昨今の競争激化がある。今年の2月に時給制で働く従業員の最低賃金を38%上げると発表したウォルマートを筆頭に、小売・飲食大手各社が労働条件の向上に取り組む中、従業員に対するキャリア支援や福利厚生の充実はCSRの観点だけではなく優秀な人材を採用、維持し続けるという観点からも重要性を増しつつある。
【参照リリース】Starbucks and ASU Offer Four Years of College with Full Tuition Coverage
【企業サイト】Starbucks
(※写真提供:Bocman1973 / Shutterstock.com)
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