国連大学は4月19日、2014年の電子廃棄物(E-waste)に関する報告書を公表した。同報告書によると、2014年の全世界における電子廃棄物の総量は推定4180万トンで、2018年までに21%増加する見込みだという。
また、同報告書は急増する電子廃棄物の種類や量、地域特性などについてこれまでにない詳細な知見を提示している。以下が注目すべき点だ。
種類および量:約60%は家庭や企業で使用された大小の機器
- 掃除機、電子レンジ、トースター、電気シェーバー、ビデオ、カメラ等の小型機器:1,280万トン
- 洗濯機、衣類乾燥機、食器洗浄機、電気ストーブ、太陽光発電パネル等の大型機器:1,180万トン
- 冷却・冷凍機等:700万トン
- スクリーン類:630万トン
- 小型のIT機器:携帯電話、計算機、パソコン、プリンタ―等:300万トン(全体の約7%)
資源としての有用性と課題:「都市鉱山」のジレンマ
全ての範囲の電子廃棄物を網羅しているわけではなく、全て強制ではないものの、2014年には世界の約40億人が何らかの電子廃棄物に関する国の規制下にあり、約650万トンは国の回収システムにより公的に回収された。
資源としては鉄、銅、金(2013年の世界の総産出量の11%に相当)、銀、アルミニウム等を含有しており、推定520億米ドル相当分が含まれているという。しかし、この中には有害な鉛ガラス、バッテリー、水銀、カドミウム、クロムそしてオゾン層を破壊するフロンも含まれており、これらの有毒物質は精神障害、癌、内臓の損傷など健康問題と関連するため、資源として再利用するには重大な課題がある。
地域特性:総量と一人当たりの排出量
電子廃棄物排出の総量としては、米国と中国が世界の電子廃棄物の32%を占めている。一方で、一人当たりの排出量で群を抜いているのは北、西ヨーロッパの富裕国で、上位5カ国はノルウェー、スイス、アイスランド、デンマークそして英国となっている。大陸別に見ると、住民一人当たりの排出量が最も多いのはロシアを含むヨーロッパで15.6キロ、総量では1,160万トンとなっている。米国は一人当たりの排出量が12.2キロで、総量は1,170万トン、アジアは一人当たり3.7キロで総量は1,600万トンだ。オセアニアはヨーロッパの量に近く、一人当たり15.2キロで総量60万トン、最も少ないのはアフリカで、一人当たり1.7キロ、総量190万トンとなっている。
このように電子廃棄物が急激に増加している背景には、激化する販売競争と電気電子機器の使用期間の短縮化がある。今回の調査結果は政策当局、メーカー、リサイクル産業に回収システム計画の基礎データとして提供され、環境や健康への負荷を軽減するために国際機関、政府、そして研究機関らに対策の促進を求める内容となっている。
【レポートダウンロード】The Global E-Waste Monitor 2014 - Quantities, flows and resources
【リリース原文】Discarded Kitchen, Laundry, Bathroom Equipment Comprises Over Half of World E-waste
【機関サイト】United Nations University
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