国務院(内閣に相当)は5月5日、常務会を開催し、中国主要都市の排出ガス規制を強化しすることを決定し、「ガソリン関連製品品質向上加速通知」(発展改革委員会エネルギー通知2015年974号)を発表した。2016年1月1日以降、市場流通するガソリン及びディーゼル油の硫黄化合物含有量をEUが現在設定している「ユーロ6基準」の前段階の「ユーロ5基準」並に引き上げる。今回の決定については、国務院の中で経済政策全体を司る国家発展改革委員会がリードし、通知は財政部、環境保護部、商務部、国家工商行政管理総局、国家品質監督検査検疫総局、国家エネルギー局の連名で発表された。
今回の規制強化の主要ポイントは、ガソリン、ディーゼル油について主要都市での品質向上日程を確定した点だ。まず、中国政府が2012年に「ユーロ5基準」を参考にして創設した排出ガス規制「第5段階自動車用燃料地方標準」(国5基準)の適用を、従来の北京市、天津市、河北省(京津冀地区)、上海を中心とする長江デルタ(長三角)地区、深圳を中心とした珠江デルタ(珠三角)地区から、東部地区11省・都市(北京市、天津市、河北省、遼寧省、上海市、江蘇省、浙江省、福建省、山東省、広東省、海南省)へと拡大する。2015年10月31日までに、このエリアの生産企業に対し、国5基準のガソリン、ディーゼル油生産能力強化を指示し、2016年1月1日からは国5基準のガソリン、ディーゼル油を東部地区で全面供給できる体制を整備させる。また、国5基準のガソリン、ディーゼル油の適用を2017年1月1日に全国に拡大し同時に国5基準以下のガソリン、ディーゼル油の国内販売を停止する。自動車用ディーゼル油以外の分野では適用を1年遅らせ、2017年1月1日より国4基準以下の国内販売を停止、2018年1月1日より国5基準以下の国内販売を停止する。
そのため、燃料供給企業に対し、水素化脱硫、吸着脱硫、メチルtert-ブチルエーテル脱硫、触媒リフォーミングの設備導入を加速させ、脱硫強化と高オクタン価を実現していく考えだ。2015年末までに国5基準ガソリンとディーゼル油をそれぞれ5,270万トン、6,170万トンを生産供給し、国内需要6,400万トン、5,310万トンをカバーできる試算だ。
同時に、次世代の排出ガス規制強化の検討もスタートさせていく。2015年6月末までに国5基準体系においてE10レベルのバイオエタノール、B5レベルのバイオディーゼル標準を発表し、国5基準の次の段階となる国6基準を2016年末までに制定し2019年から実施していく。また、船舶用燃料の国家基準も2015年末までに発表する構えだ。また、国務院は国5基準ガソリン、ディーゼル油の生産能力拡大のため、各行政府に対し行政手続の簡素化・迅速化も指示した。一方で、監督機関に対しては責任ある対応を求め、行政手続きの簡素化によって執行責任が曖昧になることを防止する警告も出した。
【政府サイト】关于印发《加快成品油质量升级工作方案》的通知
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