米マイアミ大学経営学部が9月16日に公表した調査によると、CSR評価が高い企業ほどガバナンス体制に優れており、業績不振を理由にCEOを解雇する傾向も高いことが分かった。一方で、CSR評価が低い企業ほどCEOが解雇されるリスクが少ないことも明らかになった。
同調査は1996年から2005年までの間にCEOの離職があった米国の上場企業3,000社を対象とするものだ。マイアミ大学はその中から病気や自主退職などを除く強制的な理由によるCEOの離職があった企業1,111社を対象に、四半期および年間の業績不振のためにCEOが解雇されたケースについて分析した。
その結果、CSR評価が高い企業では株主らが経営陣をより厳密に監視しており、業績を理由とするCEOの解雇率が高いことが分かった。ガバナンス体制に優れた企業とCSR評価の間には相関関係があることが判明した。
同調査結果を受けて、マイアミ大学経営学部のDJ Nanda教授は「CSRの主たる報酬は将来思考や企業のよりよいイメージづくり、訴訟の未然防止だといった通説とは反対に、我々の調査結果はCSR評価が企業の経営陣のガバナンス状況を判断する重要なツールとなることを示している」と語った。
今回の調査では、CSRに投資している企業はよりよいガバナンス体制にあることが示され、CEOの処遇にも反映されていることが分かった。Nanda氏は、CSR評価は潜在的な事業パートナーやM&A担当者、顧客、ヘッドハンター・投資家などにとっての重要な評価指標となりうるとしている。
なお、今回の論文はNanda氏に加えてシカゴ大学のJohn Barrios氏およびヴェネツィア大学のMarco Fasan氏の共著となっており、先ごろ米国会計学会から"Outstanding Management Accounting Paper Award"を授与されている。
東芝やフォルクスワーゲンなど大きな不祥事の多発により改めて経営ガバナンスの重要性が問われている今、CSRとガバナンスの関係性に着目した同調査結果はとても興味深い。レポートは下記からダウンロード可能。
【レポートダウンロード】Is Corporate Social Responsibility an Agency Problem? Evidence from CEO Turnovers
【参照リリース】Socially Responsible Firms are Also Better Governed Says University of Miami Study
【団体サイト】Miami University
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