OA機器大手のキヤノンは1月22日、同社グループ会社のキヤノンヨーロッパが、スイスのダボスで開催されていた世界経済フォーラムの中で実施されたサーキュラー・エコノミーに関する表彰アワード、"The Circulars 2016"において、日系企業として初めて最優秀賞を受賞(People's Choice Award部門)したと発表した。
The Circulars 2016は、世界経済フォーラムの40歳以下のグローバルリーダーで構成されるヤング・グローバル・リーダーズと、戦略コンサルティング大手のアクセンチュアが協働して主催するアワードで、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)の推進において革新的な取り組みを行っている企業や組織などを表彰するものだ。開催は今年で2度目となる。
今回、キヤノンは25年間に渡ってグループで取り組んでいる「トナーカートリッジリサイクルプログラム」が評価され、The Circulars 2016の一般投票により選出されるPeople's Choice Award部門において、キヤノングループを代表してキヤノンヨーロッパが最優秀賞を受賞した。
キヤノンは循環型社会の実現に向け、「サーキュラー・エコノミー」という言葉が浸透するはるか以前の1990年から、業界に先駆けて「トナーカートリッジリサイクルプログラム」を展開してきた。同プログラムは、回収した使用済みのトナーカートリッジ部品や外装プラスチックをリユース・リサイクルする活動だ。
同社は現在世界24カ国で回収プログラムを展開しており、キヤノンエコロジーインダストリー(茨城県)、キヤノン大連(中国)、キヤノンバージニア(米国)、キヤノンブルターニュ(フランス)の4拠点でリサイクルを実施している。
プログラムの開始以降、2014年までに回収した使用済みトナーカートリッジの質量は累計約34万トンに上り、約50万トンのCO2の排出削減につながっているという。同社は今後もグループの環境ビジョンである「Action for Green」の実現に向けて、技術革新と経営効率の向上により製品ライフサイクル全体の環境負荷削減に取り組んでいくとしている。
アクセンチュアが昨年の11月に公表した調査によると、サーキュラー・エコノミーの推進により生まれる世界全体の経済効果は2030年までに4.5兆米ドルに達すると推定されている。(参考記事:【国際】サーキュラー・エコノミーの経済効果は2030年までに4.5兆米ドル。アクセンチュア調査)
調達、製造から販売、廃棄までのバリューチェーン全体を直線型(リニア)で考えるのではなく、循環型(サーキュラー)に再設計し、チェーンのループを閉じることで事業運営による環境負荷ゼロを目指すという考え方は、新しい持続可能な経済成長モデルとして世界中の注目を集めている。
この世界全体のパラダイムシフトは、キヤノンのように以前から積極的に環境技術の革新やリサイクルに積極的に取り組んできた日本企業にとって、新たにプレゼンスを獲得する大きな機会でもある。ぜひさらに多くの企業の活躍に期待したいところだ。
【参考サイト】The Circulars 2016
【参照リリース】The Circulars 2016※において日系企業で初めて最優秀賞を受賞
(People's Choice Award部門)
(※写真提供:photogearch / Shutterstock.com)
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