食品大手・仏ダノンの米国法人Dannon Company社は4月27日、主力商品の一つであるヨーグルトについて、サステナビリティ調達を強化するとともに、遺伝子組み換え飼料の使用を禁止し、合成添加物の使用を抑制する新たな方針「ダノン誓約(Dannon Pledge)」を発表した。同社は酪農経営者・飼料提供者と協働し、土壌改善、水管理、生物多様性促進、二酸化炭素削減、動物愛護の分野で、テクノロジーやベストプラクティスを導入していく。
原料乳の成分改善にも取り組む。まず、Dannon®、Oikos®、Danimals®の3ブランドにおいて、今年7月より順次、砂糖やスターチを含め合成物質や遺伝子組み換え原材料の使用を止め、天然由来原材料の使用も少なくする。また、Dannon®、Oikos®、Danimals®の3ブランドに生乳を供給する酪農経営者に対し遺伝子組み換え飼料(GMO)を用いることを禁止する措置を2017年に開始、2018年中に完了させる。遺伝子組み換え飼料の禁止措置は、有機ヨーグルト以外のメーカーでは初となる。
さらに、消費者への透明性を確保するため、遺伝子組み換え飼料を利用した製品全てに対して、2017年12月までに全米での販売時に遺伝子組み換え飼料が含まれていることを示す表示ラベルを貼付する。特定の州の州法が表示ラベルに関する規定を設けている場合は、その表示ラベルを該当の州だけでなく、全米で実施する。
Dannon®、Oikos®、Danimals®の3ブランドが同社の製品個数に占める割合は50%と大きく、サプライチェーンに与える影響は非常に大きい。米国ダノンは、将来的には3ブランド以外のブランドについても同じ措置を展開していく考えだ。
ダノンは、2001年にオーガニック・ヨーグルト製造の米Stonyfield Farm社を、2013年にオーガニック離乳食製造の米Happy Family社を買収し、グループ企業の中にオーガニック食品の企業を持つようになっていた。米国ダノン幹部は、今回の「ダノン誓約」の制定に関して、これらオーガニック食品関連企業の影響があったことを認めている。すでに米国ダノンは2010年から酪農家との直接取引関係をスタートさせており、サプライチェーンを直接的に管理できるような体制づくりに乗り出していた。また、すでに第一弾として動物愛護の分野では活動を開始しており、牛乳調達元の酪農家は、動物愛護・環境・農場安全の分野での認証を管理するValidus社の認証を取得するよう進めており、2016年6月までに納入された原料乳の90%以上はすでに認証取得乳となる見込みだという。Validus社の認証では、1)動物の苦痛軽減、2)動物の健康的な育成、3)飼料の水質と標準化、4)動物の快適さと清潔度を向上させる厩舎、5)酪農場の安全性の5分野がチェックされる。
ダノングループは、今年4月17日に国際NGOオックスファム・インターナショナルが発表した食品企業のサステナビリティランキングで、世界大手10社中最下位という不名誉を獲得していた。特に、土地利用で10点満点中2点、農場経営者3点、農場労働者3点、透明性3点といずれも低い数値だった。今回の米国ダノンのダノン誓約は、業界トップを走るユニリーバやネスレに追いつくために打ち出した戦略とも言える。世界の食品企業は、サステナビリティに向けた長距離レースをすでに開始している。
【参考サイト】Dannon Announces Breakthrough Sweeping Commitment for Sustainable Agriculture, More Natural Ingredients and Greater Transparency
【ダノン誓約】Dannon Pledge
【認証サイト】Validus Certified Responsible Producer
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