米国国際開発庁(USAID)の米国グローバル開発ラボラトリーは10月12日、同機関の「開発イノベーション・ベンチャー(DIV)プログラム」を通じて、世界中の12団体に対し、総額620万米ドル(約6.5億円)の無償資金を提供することを決定した。DIVプログラムでは、国際開発の分野でイノベーティブなアイデアを募集し、採択した企業やNGOに対して資金提供するプログラム。今回された12団体は、10ヶ国以上で活動をしており、今回の資金提供を受け、医療、教育、エネルギー分野などでアイデアを実行に移していく。今回受賞した12団体のうちほとんどは、USAIDから初めて資金提供を受ける。
DIVプログラムでは、ベンチャーキャピタルから着想を得て、3段階の資金提供システムを採用している。ステージ1、2という早熟期アイデアに対しては比較的少額の投資をし、スケールアップした場合のインパクトが大きいと見込まれたアイデアには、3段階目として追加投資とハンズオンの支援を提供している。ステージ1の資金提供額は、活動毎に2年間までで2万5,000米ドル(約258万円)から15万米ドル(約1,550万円)まで。ステージ2は3年間までで15万米ドル(約1,550万円)から150万米ドル(約1.55億円)まで。ステージ3は5年間までで150万米ドル(約1.55億円)から1,500万米ドル(約15.5億円)まで。
ステージ1と分類されたアイデアは、社会での実現可能性を実証するため、発展途上国でアイデアを試験的に実践していくための無償資金を得る。
- Evaptainers(モロッコ):2013年にマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究室から誕生したスタートアップ企業。持ち運び可能でエネルギー不要の蒸発型冷却システムを開発。今回、無電化地域での低所得農家に対しフィールドテストを行う。
- Koe Koe Tech(ミャンマー):2012年にミャンマー系米国人が設立したスタートアップ企業。妊産婦・乳幼児死亡率の削減のため、夫婦や両親に対し正確な医療情報へのアクセスを可能にするアプリ「maymay mHealth」の普及とテストを行う。
- myAgro(セネガル):2011年にマリで設立されたスタートアップ企業。小規模農家に対し、大きな資金が必要な種まき期に、種や肥料を頭金のみで予約購入できるモバイルプラットフォームを提供する。
- Care(ペルー):1946年に米国で設立された国際的なNGO。低アマゾン地帯でナノテクノロジーや太陽熱放射を利用した飲料水品質改善装置を提供する。
- IFMR(インド):1970年にインドで設立されたビジネススクール経営学校法人。インド農村部の優秀な幼稚園に通う低所得世帯の子供に対し奨学金を提供し、インパクトを実証する。
ステージ2のアイデアには、社会的インパクトや市場適合性の測定、スケールアップ方法の検証のための無償資金を提供する。
- 1001 Fontaines(カンボジア):2004年にカンボジア人とフランス人が立ち上げたNGO。農村部で飲料水を提供するため、太陽光発電型の紫外線殺菌浄水装置を搭載した水キオスク運営を他地域に拡大する。
- Better Cotton Initiative(グローバル):2005年に設立されたNGO。サステナビリティ配慮型の「ベターコットン」の栽培を100万以上の農家に支援する。
- Development Media International(ブルキナファソ):2007年にロンドンで学者らが設立した開発支援NGO。農村部は避妊を促すマスメディアキャンペーンを展開する。
- D-Rev(インド、ケニア):スタンフォード大学で博士号を取得した科学者が2007年にサンフランシスコで設立したNGO。黄疸を患う新生児に光線療法を低価格で施す仕組みを実施、検証する。
- Muso(マリ):2005年にマリ人とアメリカ人の科学者がマリで設立したNGO。都市部で科学的根拠に基づく医療システムの提供を拡大する。
- PowerMundo(ペルー):2008年にコロラド州立大学の学生らが設立した企業。ペルーの無電化都市部の低所得者向けに、デジタル決済ベースで太陽光発電を単位購入でき、購入を繰り返すことで最終的に太陽光電灯を所有できるファイナンスシステムの提供を拡大する。
- Vision for a Nation(ルワンダ):2009年に設立された英国の慈善財団。視覚障がい者向けのケアや眼鏡支給を展開するため、中央政府の看護師教育制度を支援する。
【参照ページ】USAID AWARDS MORE THAN $6 MILLION FOR INNOVATIVE APPROACHES TO FIGHTING EXTREME POVERTY
【参照ページ】DIV'S MODEL IN DETAIL
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