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【アメリカ】全米9州の住民投票で大麻が合法化。大麻合法化州が28州に拡大

marijuana

 全米9州で11月8日、大麻(マリファナ)に使用を合法化する住民投票が行われた。「大麻」とは植物そのものであり、それを乾燥させ、吸引用にしたものをマリファナという。大麻の全面合法化を問うたのが、メーン州、カリフォルニア州、マサチューセッツ州、ネヴァダ州、アリゾナ州の5州。医療目的での限定的な大麻合法化を問うたのが、アーカンソー州、フロリダ州、モンタナ州、ノースダコタ州の4州。そのうちアリゾナ州を除く8州で、大麻合法化賛成が多数を占め、合法化されることとなった。

 米国では他の州でも大麻の合法化が進んでいる。すでに全面合法化を決めている州は、アラスカ州、ワシントン州、オレゴン州、コロラド州で、今回の新規4州を含めて全部で8州となった。医療目的限定の合法化を定めているのは、アリゾナ州、ニューメキシコ州、ミネソタ州、ミシガン州、イリノイ州、ルイジアナ州、ペンシルバニア州、メリーランド州、デラウェア州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、コネティカット州、ロードアイランド州、バーモント州、ニューハンプシャー州、ハワイ州の16州で、今回の合法化4州を含めて20州となった。結果、今回の住民投票を受け、28州とワシントンD.C.で大麻が解禁されることとなった。合法化州は、北東部のニューイングランド地域や西海岸エリアなど、リベラル派住民の多い都市州に多いことが特徴的だ。

 米国では、連邦政府レベルでは、大麻は医療用、嗜好用共に禁止されている。しかし州内での合法化は州政府レベルで決定できることとなっている。米国での大麻合法化のプロセスは、まず医療用として栽培・使用したいという要望があがり、続いて嗜好用の栽培・使用につながってきている。例えば、カリフォルニア州では、1996年に医療用大麻の栽培・使用がまず合法化。2010年に嗜好用大麻の栽培・使用に向けた住民投票「プロポジション19」が実施されたが、結果は反対53.5%、賛成46.5%で否決されたが、今回の住民投票「プロポジション64」では賛成56.66%、反対43.34%で合法賛成が過半数を占めた。

 カリフォルニア州では、大麻の合法化により、21歳以上の人は嗜好用として最大6鉢の大麻を栽培・使用できるが、栽培は個人宅など閉じられた空間のみに限定されている。またライセンスを得た場合には販売も可能となる。学校、児童館、ユースセンターの600フィート(約182メートル)以内では販売活動は禁止される。また、嗜好用大麻の栽培や販売には税金が課せられる。州レベルでは、栽培には花の部分に1オンス(約28g)当たり9.25米ドル、葉の部分に2.75米ドルで、販売には価格の15%相当の課税が予定されている。また、郡政府や市政府にも独自の許認可付与制度と追加課税権限を付与した。大麻合法化には、政府の税収増の側面もある。税金の使途としては、大麻関連の研究、若者向け薬物関連の教育プログラム、違法な大麻栽培による環境破壊の修復等。

 では、医療用大麻の効用はどの程度立証されているのだろうか。世界保健機関(WHO)のホームページには、ハーバード・メディカル・スクールのBertha K. Madras精神生物学教授とマサチューセッツ州のマクリーン病院アルコール・薬物乱用リサーチプログラムの共同論文「Update of Cannabis and its medical use」が掲載されている。この研究では、医療用の大麻の使用に関する過去の論文335本をレビューした。結論としては、医療用大麻の効果を確実に示す根拠は乏しいと述べ、また安全性や副作用につながる可能性も指摘している。

 ギャラップ社が10月に実施した調査によると、大麻に加え、ヘロイン、コカイン、アルコール、たばこなどの問題性に関し、一般市民が危険度が低いとしたのは断トツで大麻。次いで、コカイン、アルコール、タバコ、ヘロインの順で、米国ではマリファナやコカインより、アルコールやタバコのほうが社会の危険度が高いという声が多い。特に大麻は合法化しても良いという声が増えており、今後大麻合法州が増えていく可能性が高い。

【参照ページ】California Proposition 64, Marijuana Legalization (2016)
【参照ページ】Update of Cannabis and its medical use
【参照ページ】9 states are voting on marijuana — here are the issues
【参照ページ】Californians Legalize Marijuana in Vote That Could Echo Nationally
【参照ページ】Gallup, "Illegal Drugs"

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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