【国際】水銀の産出・排出・輸出規制を課す「水銀に関する水俣条約」が発効。日本も締約国 2017/09/13 最新ニュース

 水銀の産出・排出・輸出規制を課す「水銀に関する水俣条約」が8月16日、発効した。水銀がもたらす人体・環境への被害は、日本の四大公害の一つである水俣病により世界的に知られることになり、国連環境計画(UNEP)も2001年から地球規模での水銀汚染対策活動を開始。その後同条約が2013年に採択され、現在まで128ヶ国が署名。批准国も。同条約発効に必要な50ヶ国を上回る74ヶ国に達し、同条約が発効した。日本も2016年2月に批准している。

 現在、世界の水銀排出量は年間8,900t。水銀を含む岩石の風化や山火事、火山活動による自然発生の部分もあるが、大半が人間の活動によるもの。特に排出量が多いのが石炭焼却や、職人による小規模金採掘。採掘現場だけで、世界70か国、1,500万人の児童を含む労働者が日常的に水銀リスクに晒されている。その他、塩素やプラスチックの製造、研究所や製薬、保存料、塗料、宝石製造にも水銀は使用され、それに携わる人々にも健康リスクがある。

 水銀への接触は、いかなる程度であっても安全ではなく、水銀によって引き起こされる神経系やその他人体への損傷への治療法も存在しない。特に胎児や乳児、水銀に汚染された魚類を食べる人々、水銀を仕事で使用する人、水銀汚染の現場付近で暮らす人、重金属が溜まりやすい寒冷地域に暮らす人などに高いリスクがある。2017年に、アジア太平洋地域の再生産可能な女性を対象に行われた調査では、魚類を多く食べる人の96%に水銀摂取の痕跡が見つかった。

 今回発行した条約には、熊本県・水俣の地名に因み、水銀に関する水俣条約(Minamata Convention on Mercury)という名前が付けられた。同条約が発行したことにより、締約国は、締約国は水銀使用のライフサイクルにおいて法的な責任を負うことになる。まず、鉱山からの水銀の産出について、新規鉱山開発は禁止され、既存の鉱山からの産出も15年以内に禁止される。職人による小規模金採掘における水銀放出も原則禁止される。化粧品、電球、バッテリー、歯の詰め物等の製造プロセスでの水銀使用も段階的に禁止される。また、石炭火力発電所、廃棄物の焼却、クリンカの焼成プロセスで発生する水銀等、副産物としての水銀生成の制限も課す。水銀の暫定的保管や排出方法についても規定し、土壌汚染リスクを減らす。水銀の輸出制限も課せられる。

 同条約の実施のために、地球環境ファシリティ(GEF)が資金提供し、プロジェクトを実施していく。

【参照ページ】World comes together to tackle mercury poisoning
【条約】水銀に関する水俣条約の概要

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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