世界銀行グループの国際復興開発銀行(IBRD)は2月7日、メキシコ、コロンビア、ペルー、チリ4ヶ国政府に対し、地震発生時に保険金が支払われるスキームを対象資産とする地震債を2月2日に発行したと発表した。発行総額13億6,000米ドル(約1,550億円)。国家信用リスク(ソブリンリスク)保険債として過去最大。キャットボンド(大災害債券)としても過去2番目の規模で、世界銀行グループとしては過去最大のキャットボンドとなる。
地震を対象としたソブリン保険は、地震発生時に対象国政府に対し保険を支払う。地震発生時には、被災者支援や復興支援等で国家には大きな財政負担となるため、発展途上国等では国の信用力を揺るがす事態となる。ソブリン保険は、そのような状況を防ぐための安全機能の役割を果たす。
今回発行されたものは、5種の債券をまとめたもの。チリ、コロンビア、ペルーが1種ずつ、メキシコには2種が割り当てられている。発行額はチリ5億米ドル、コロンビア4億米ドル、メキシコが1.6億米ドルと1億米ドル、ペルー2億米ドル。償還期間はメキシコ向けは2年、それ以外は3年。保険支払は、米内務省傘下の研究機関である米地質調査所が提供するデータに基づく基準値設定がされている。
同地震債の共同主幹事は、スイス再保険と米保険大手エーオンの証券子会社Aon Securities。スイス再保険、Aon Securities、シティグループが共同ブックランナーを、AIR Worldwideが仕組債としての計算代理人を務める。支払条件は各国ごとに異なる。地震が発生した場合には、元本償還されない可能性があるため、ハイリスク債に位置付けられている。
同地震債の販売は、米1933年証券法規則144Aに基づく適格機関投資家または米国民のみが対象。転売も制限されており流動性は低い。クーポンは、3ヶ月LIBORに管理マージンとリスクマージンを加えたもの。リスクマージンはチリ向けとメキシコ向けのうち1種が最も低く2.5%。高いものは、ペルー向けは6.0%、メキシコ向けもう一種は8.25%。需要は旺盛で、世界45の投資家から発行額の約2倍、25億米ドルの注文が入った。
【参照ページ】World Bank Affirms Position as Largest Sovereign Risk Insurance Provider with Multi-Country Earthquake Bond
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