有力医学誌ランセットは3月5日、パリ協定に沿う気候変動対策を進めることで大幅に医療費削減できるとする論文を掲載した。論文の発表者は、ロンドン・スクール・オブ・ハイジーン・アンド・トロピカル・メディスン(LSHTM)のAndy Haines教授。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局も同論文を紹介し、気候変動への投資を加速するよう呼びかけている。
パリ協定の基で各国が提出した削減目標を積み上げても、気温上昇は産業革命前から3℃上昇してしまう。国際エネルギー機関(IEA)は、2℃目標を達成するために7%の投資増を求めているが、同論文によると投資を実現することで2040年には300万人の人命を救うことができる。これら健康悪化を防ぐことで削減できる医療費は、二酸化炭素排出量1t当たり50米ドルから380米ドル。一方、現在、化石燃料分野には各国政府から5.3兆米ドルの補助金が出ている。
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局は、同論文で発表された研究内容から試算すると、今世紀半ばまでに医療費を54兆米ドル(約5,700兆円)削減できると表明した。
【参照ページ】Implementing Paris Agreement Could Save Governments USD 54 Trillion in Health Care – Report
【論文】Health co-benefits of climate action
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