国連グローバル・コンパクトとGRIは8月1日、企業報告に国連持続可能な開発目標(SDGs)を盛り込む報告ガイダンスを発表した。日本では、総花式にSDGsの17のゴールを事業活動に紐付ける動きが広がっているが、同ガイダンスでは、企業が取り組むべきSDGsターゲットを優先順位を付けて明確にすべきと強調した。
今回の報告書は、GRIと国連グローバル・コンパクト(UNGC)が2017年1月11日から実施している合同プロジェクトの成果。同プロジェクトでは、UNGC10原則や国連持続可能な開発目標(SDGs)、国連ビジネスと人権に関する指導原則、GRIを踏まえた企業情報開示を検討してきた。今回発表のガイダンスは新たなフレームワークではなく、各フレームワークやSDGsに適した企業情報開示のあり方を整理し提示したもの。
【参考】【国際】GRI・UNGCのSDGs情報開示合同プロジェクト、2年間活動の参加企業を募集中(2017年1月24日)
今回のガイダンスでは、SDGs報告のフローとして、(1)優先度の高いSDGsターゲットの設定、(2)測定と分析、(3)報告と変化に向けた実行の3つのステップを踏むべきと提示。報告するSDGsターゲットの優先順位の付け方については
、GRIスタンダートと同様、マテリアリティの概念に基づくべきとした。その上で具体的な設定手法については2つを提示した。
- リスク観点:企業が自社やサプライチェーンを通じて与える環境や社会へのネガティブインパクトが大きいものの中で、企業がリスクとして対策を行うSDGsターゲット。
- 機会観点:企業が製品、サービス、投資を通じて最も貢献できるSDGsターゲット
測定と分析のステップは、設定した優先SDGsターゲットに基づき、定量・定性データを収集、分析するというもの。SDGsターゲットで掲げる指標そのものについてのインパクト測定が難しい場合は、関連する指標を企業が自ら設定し状況を確認すべきとした。また指標設定では、通常のKPI設定と同様に、「Specific(具体的)」「Measurable(測定可能)」「Achievable(達成可能)」「Relevant(関連性のある)」「Time-bound(時間制約のある)」の5原則「SMART」を満たすべきとした。また、あるターゲットへのネガティブインパクトを、他のターゲットへのポジティブインパクトで相殺した形で報告を行うことはできないと釘を差した。
その上で、報告を行うステップでは、「Concise(簡潔)」「Consistent(一貫性のある)」「Current(現状ベース)」「Comparable(比較可能)」の「4Cs」に基づく進捗報告に努めるべきと強調した。特に、ステークホルダーが関心のある内容を説明する姿勢や、ネガティブインパクトを含むものについては隠さず対応策を説明する姿勢が重要とも言及。報告情報の正確性を担保するため、内部監査や外部保証を行うべきとも指摘した。
【参照ページ】New guidance for companies to report their impact on the Sustainable Development Goals
【ガイダンス】Integrating the SDGs into Corporate Reporting: A Practical Guide
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