国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)、国連責任投資原則(PRI)、米Generation Foundationは9月6日、米企業年金基金向けに、ESG投資とエリサ法(従業員退職所得保障法)との関係を整理したレポート「Untangling stakeholders for broader impact: ERISA plans and ESG incorporation」を発行した。米国でのフィデューシャリー・デューティーの考え方を示した。
UNEP FI、PRI、Generation Foundationの3者は2015年、世界のフィデューシャリー・デューティーの考え方を整理したレポート「Fiduciary Duty in the 21st Century 」を発行。2016年1月からは、国別のロードマップを作成する3年間のプロジェクトを開始し、2016年10月には米国のロードマップを発行。その後も、米国での政策動向や提言に関するレポートを数多く発表してきた。
米国では、エリサ法が企業年金基金に対するルールを定めている。米国の企業年金基金も日本と同様、確定給付型(DB)から確定拠出型(DC)への移行が進展。ESG投資の観点では、DC型年金基金は、年金管理者に真当な運用オプションやストラクチャー整備を貫徹するインセンティブに欠けるという課題を抱えている。2018年4月に労働省(DOL)が「Field Assistance Bulletin No. 2018-01」を発行。ESG投資を実施する企業年金基金に対し、財務リターンを減らすことがないように慎重に判断するよう要求した。また、2018年5月には米政府監査院(GAO)は労働省に対し、ESG投資オプションを、適格デフォルト投資選択肢(QDIA)として用意することが年金管理者の責任として認められるかの明確化、及び労働省に対し年金管理者がESG投資を促進することをサポートするためきちんとした情報発表を行うことを要請した。
前述の内容については、現在も米国では様々な議論がなされているが、今回のレポートは、政策ではなく、企業年金基金の実際のステークホルダー・エンゲージメントに焦点を当てた。エリサ法は、考慮すべきステークホルダーとして、「年金制度スポンサー」「コンサルタント」「運用会社」「独立アドバイス提供者」「年金加入者」の5つを挙げているが、それぞれについてESG観点でのステークホルダー・エンゲージメントのあり方をまとめた。
【参照ページ】UNTANGLING STAKEHOLDERS FOR BROADER IMPACT: ERISA PLANS AND ESG INCORPORATION
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