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【日本】パリ協定以降に小規模石炭火力が10基運転開始。電力、ガス、総合商社、化学メーカー等が主体

 環境NGO気候ネットワークは2月21日、2012年以降に計画された設備容量11.25万kW未満の「小規模石炭火力発電所」19基についての現状調査を公表した。すでに10基が、2016年から今日までに営業運転を開始していることがわかった。その他は、3基が建設中、2基が計画停止、4基は石炭からバイオマス100%に燃料転換を検討していた。

 11.25万kW未満の石炭火力発電所は、法定の環境アセスメントの義務対象から外れる。そのため、環境評価や住民説明等が不要となる。今回運転開始がわかった10基については、7基が11.2万kW、1基が11.0万kWと、義務対象から外れるギリギリを狙ったことが透けて見える。そのうち3基については、地方自治体の条例環境アセスメントの対象となり、アセスメントが実施されていた。一方、停止2基とバイオマスへの燃料転換4基については、すべて条例アセスメントが実施されており、条例アセスメントが石炭火力発電建設への一定の歯止効果があることがわかった。

 発電技術についても、日本では高効率石炭火力として「超々臨界(USC)」や「超臨界(SC)」を自負しているが、今回運転開始が確認されたものには、それより下の「亜臨界(Sub-C)」のものも多い。法定環境アセスメントから逃れられるため、安価だが二酸化炭素排出量や大気汚染物質の多い技術を活用していた。10基の建設事業者は、関西電力、大阪ガス、三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、三菱化学、旭化成や、大和証券グループ本社も出資するIDIインフラストラクチャーズが名を連ねる。

 建設中3基は、いずれも設備容量が11.2万kW。発電技術は不明。発電事業者は、中国電力、広島ガス、IDIインフラストラクチャーズ等。

 停止した2基は、日本製紙の「秋田バイオマス混焼発電事業」と、三菱商事の「MC川尻エネルギーサービス」。いずれも設備容量が11.2万kW。双方とも各県の条例アセスメントを実施済だが、計画の前進が確認されない。一方、計画が正式に中止されたとの発表もなされていないため、日本製紙と三菱商事には、中止の場合には、中止の発表をぜひしていただきたい。

 バイオマス100%への切替を決めたのは、前田建設工業の「大船渡港バイオマス混焼石炭火力発電所」、相馬共同自家発開発合同会社の「相馬中核工業団地内発電所」、エイブルエナジーの「福島いわき好間火力」、住友商事の「仙台高松バイオマス発電所」。いずれも設備容量が11.2万kW。

 今回の調査を受け、大型・中型も含めた2012年以降の石炭火力発電所建設計画50基全体では、12基(691.8万kW)がすでに中止・燃料変更ととなり、12基(130万kW)が営業開始していたことになる。

[2019年2月27日追記]
 日本製紙は2月27日、「秋田バイオマス混焼発電事業」計画を撤回したことを明らかにした。馬城文雄社長は「今の建設費やバイオマス燃料(の海外木質ペレット)の購入費を考えると収益的に厳しい」と説明した。

【参照ページ】【プレスリリース】石炭火力発電の最新状況 2基稼動・1基中止・2基停止が明らかに~条例アセスは一定の歯止めにはなるも、木質バイオマスへのシフトを加速~(2019/2/21)

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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