仏電力・ガス大手エンジーは2月28日、二酸化炭素排出量ゼロを掲げた戦略を発表した。再生可能エネルギー発電を大幅に強化するとともに、事業地域の選択と集中を実行し約20ヶ国から事業撤退する。
エンジーは現在、70ヶ国に展開し、従業員数は約15万人。2018年の売上は606億ユーロ(約7.7兆円)と東京電力を上回る。同社は2016年から「脱炭素」「デジタル化」「分権化」の3つを軸に事業改革を行っており、再生可能エネルギー、天然ガス、省エネの3領域へと事業をシフトさせてきた。しかし、今日を「エネルギー転換の第2の波」と呼び、二酸化炭素排出量ゼロを実現できるソリューションの分野で世界のリーダーになると宣言した。
実現に向けた具体策では、コージェネレーション、暖房・冷却システムの構築、街灯、屋上太陽光発電、EV充電ステーション等を含めたクライアント向けサービスを強化する。ガスでは、フランスでの環境新基準に対応しながらガス事業分野に資本投下するとともに、新興国でのガスインフラ整備案件を取りに行く。再生可能エネルギーでは、電力購入契約(PPA)向けの発電を拡大。「グリーン・ガス」と洋上風力発電の分野で世界トップクラスを目指す。2021年までには再生可能エネルギーで9GWの新規設備容量を見込み、50%は企業PPA向けにする計画。
他の発電事業分野では、石炭火力発電を縮小し、海水淡水化やコージェネレーション等を念頭に顧客に要望に応じ厳選してガス火力発電を進める。電力小売分野では、家庭向け販売は価格競争が激しくなっているが、家庭向けと企業向けの双方で契約数を延ばすことで、収益性を維持したい考え。
市場戦略では、事業密度が高く上位3社にまで入り込めるという観点から、世界20ヶ国及び30主要都市を重点地域に指定。その結果、今後3年間で約20ヶ国から徹底する。各地域での投資分野は状況毎に異なるとしつつも、IRRとして、エンジーのWACC+200bps及び資本コスト+400bpsを適用するとした。
(出所)エンジー
【参照ページ】Ambition to lead the zero carbon transition
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