欧州委員会のサステナブルファイナンスに関するテクニカル専門家グループ(TEG)は3月6日、EU公式グリーンボンド基準(EU GBS)案を公表した。幅広い関係者に意見を求める。EU公式グリーンボンド基準の策定は、EUが掲げるサステナブルファイナンス・アクションプランの一つ。同時に、「サステナブル」や「グリーン」の定義(タクソノミー)設定、低炭素投資インデックス基準の策定、企業や機関投資家の情報開示義務化の改正等を進めている。
【参考】【EU】欧州委、サステナブルファイナンス・アクションプラン発表。金融・企業報告のEU法改正も視野(2018年3月12日)
EU GBSは、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)等の業界基準を参照し、ベストプラクティスをまとめた任意基準。同基準を遵守しなくてもグリーンボンドは発行できるが、「EUグリーンボンド」を名乗るには遵守しなければならない。
今回の基準では、「EUグリーンボンド」と名乗るためには、資金使途を100%環境プロジェクトのみに用いることや、セカンドオピニオンを取得することを必須とした。EU域外の発行体に対しても、今回の基準を遵守すれば「EUグリーンボンド」と名乗ってよいとした。資金使途については、過去プロジェクトのリファイナンス目的でも可だが、ルックバック期間は3年以内とした。調達資金を、そのまま分別管理しプロジェクトに充当しなくとも、同等であれば可と柔軟に定義した。
資金使途として認められる環境プロジェクトも定義した。EUが掲げる何らかの環境政策に資することが必要で、気候変動緩和、気候変動適用、持続可能な水・海洋資源マネジメント、サーキュラーエコノミーや廃棄物マネジメント、リサイクル、汚染防止・汚染管理、生態系保護等は、全て適格プロジェクトとなる。但し、使途プロジェクトが他の負のインパクトをもたらさないことや、国際労働機関(ILO)の「中核的労働基準」と言われる「結社の自由及び団体交渉権」「強制労働の禁止」「児童労働の実効的な廃止」「雇用及び職業における差別の排除」の4分野8条約に代表されるような最低限の社会的セーフガードを講じることも求められる。
発行後レポーティングでは、EU GBSを遵守することへの言及とともに、EUのタクソノミーやEUの環境政策分野毎の充当金額、使途の種別(アセット、設備投資、運用費等)、ファイナンスとリファイナンスの割合、環境インパクトの実際数値または推計数値、インパクト評価手法、充当プロジェクトの地域割合、グリーンボンド比率(債券残高全体に占めるグリーンボンド残高の割合)を記載することが求められる。
【基準案】Proposal for an EU Green Bond Standard
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