米環境保護庁(EPA)は8月29日、石油・天然ガス企業に対する大気汚染規制「新規汚染源排出基準(NSPS)」の緩和案を発表した。同規制はオバマ政権時に制定。今回トランプ大統領は、冗長性や同産業の負荷の大きさから、撤廃を提案したと説明した。
同提案は、大統領令13783号「エネルギー自立と経済成長の促進」に対応したもの。石油・天然ガスを含む「国産のエネルギー資源の開発または使用に負担をかける可能性がある」とする現行規制について、見直しを指示した。トランプ大統領は、現状の規制には重複があり、石油・天然ガス産業に年間数百万米ドルものコンプライアンス費用負担となっていると主張。EPAが「不必要」と考える規制の重複を排除に向けて提案が実施された。EPAは今回の改正案によって、石油・天然ガス産業は、年間1,700万から1900万米ドル、2019年から2025年までに合計9,700万から1億2,300万米ドルの負担軽減が可能と分析する。
今回の改正案の内容は主に2つ。まず、送配電及び蓄電関連設備をNSPSの対象から外す。同設備は、2016年のNSPS制定時には対象に加えられたが、今回
同制度の義務から解放されることになる。背景には、同設備からの排気ガスが、公衆衛生や福利を害する検討を行ったが、問題性を示す結論は得られなかったためとしている。
次に、生産・加工部門からのメタンガス排出量制限についても撤廃を要求。オゾンを生成する揮発性有機化合物(VOC)の排出量制限は維持する一方で、VOC排出量削減に取り組む中でメタンも削減されるため、メタンガス自体に個別に規制するのは冗長だとした。
当局は、汚染物質の規制における大気浄化法(CAA)の法解釈についてコメントを募集し、目下コメントの確認、検討を行っている。今後数か月以内に最終規則を発行する予定。同提案へのパブリックコメント期間は官掲載後より60日間。公開会議と聴聞会の詳細は間もなく発表される。
AFP通信によると、英BP、米エクソンモービル、蘭ロイヤル・ダッチ・シェル等の大手エネルギー企業は、EPAの意向に反し、現行規制を求めていく考え。一方EPAは、小型エネルギー企業については、NSPSの規制を満たすことは大きな負荷となっているため、トランプ政権の弱者救済策とともいえる。
【参考】EPA proposes updates to air regulations for oil and gas to remove redundant requirements and reduce burden
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