国連環境計画(UNEP)の気候変動と大気汚染防止の国際パートナーシップ(CCAC)は9月23日、冷房・冷蔵の二酸化炭素排出量削減イニシアチブ「Cool Coaltion」の署名機関が、環境配慮型の省エネ冷房・冷蔵のための新たなコミットメントを行ったと発表した。同イニシアチブは、「Kigali Cooling Efficiency Programme」を介した80以上の中央政府、地方政府、企業、国際機関、金融機関、学界、NGOを結ぶグローバルネットワーク。2019年4月にCCACの下で発足した。
気候変動により冷蔵・冷房の需要は世界全体で高まっており、現在10億人以上が冷房設備へのアクセスがなく、喫緊のリスクとなっている。しかし、冷却設備が増加すると、さらに気候変動は加速してしまう。2050年までに空間冷房にかかる電力消費だけで、現在の中国とインドの消費量に匹敵。その量は、現在検討されている将来の再生可能エネルギーの量に相当する。一方、冷房・冷蔵の最新省エネ技術を普及させるだけで、2030年までの累計二酸化炭素排出量を38Gtから60Gt削減でき、2050年までに130Gtから260Gt削減できると見積もられている。
冷蔵・冷房の省エネ推進では、8月に開催されたG7ビアリッツ・サミットの中で、ハイドロフルオロカーボン(HFC)の削減を含め冷房・冷蔵からの二酸化炭素排出量を迅速に削減していく約束「冷房・冷蔵省エネの迅速アクションのためのビアリッツ誓約」を採択。現在すでに26ヶ国政府が署名する意向を示している。今回、日本、英国、デンマーク、ハンガリー、チリ、コスタリカ、レバノン、ジブチが署名した。また、スペイン、ドミニカ共和国、北マケドニア、ルワンダ、セネガルの5ヶ国が、パリ協定の自主的削減目標(NDC)の中に冷蔵・冷房に関する内容を盛り込むと発表した。
加えて、世界銀行と地球気候基金(GCF)は、同分野への投融資を拡大することを表明。英慈善団体の児童投資未来財団(CIFF)は、モントリオール議定書のキガリ改正で発足した「Kigali Cooling Efficiency Program(K-CEP)」に2,000万米ドル資金拠出し、K-CEPのファンド規模を6,000万米ドル以上にまで高めると発表した。
地方政府の気候変動対応推進イニシアチブ「C40」も、加盟政府相互の省エネ・ナレッジを共有し、削減計画に盛り込んでいく考えを示した。
【参照ページ】In support of climate action, Cool Coalition partners announce huge push on efficient, climate-friendly cooling
【参照ページ】Countries pledge fast action on efficient cooling, a big win for clean air and the climate
【参照ページ】Biarritz Pledge for Fast Action on Efficient Cooling
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