EU加盟12ヵ国の閣僚は11月28日、企業がEU加盟各国での利益と納税額の開示を強制するEU指令案を却下。欧州委員会は、EU閣僚理事会からの事前合意の取り付けに失敗した。同指令案は、アップル、フェイスブック、グーグル等のグローバル企業が、年間推定5,000億米ドル(約55兆円)を租税回避しているスキームを明らかにすることを目的に設計。法人税の高い英国、フランス、ドイツから、同税の低いアイルランド、ルクセンブルク、マルタ等へ移転することを防ぐことを狙っている。
今回の新指令案に反対したのは、アイルランド、ルクセンブルク、マルタ、キプロス、ラトビア、スロベニア、エストニア、オーストリア、チェコ、ハンガリー、クロアチアといった低税率国11ヵ国とスウェーデン。
アイルランドは、新指令が、アイルランドの税収を減退させ、経済が瓦解する恐れがあると反発。スウェーデンは逆に、同国の厳しい納税透明性基準が引き下げられることになると反対した。一方、フランス、スペイン、オランダは、同規制に賛成。ドイツや英国は棄権した。本来、英国は租税回避に厳しい姿勢であるが、総選挙前ということで棄権したと見られている。
特に、アイルランド財政諮問委員会(IFAC)は、同国法人税の半分はグローバル企業10社からのものと公表。明言はないものの、アップル、フェイスブック、マイクロソフト、デル、グーグル、オラクル等だと見られる。さらに同国の税収全体に占める法人税の割合は高まっている。グローバル企業に課税する同国の法人税は実質6.25%(法人税率は12.5%だが、特許や知的財産関連の利益に対しては6.25%)。一方、隣の英国は19%。
欧州委員会が、同指令の立法に向け着手してから、3年が経過。EU内で足並みはなかなか揃わない。
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