経済産業省、文部科学省、厚生労働省の3省は2月28日、企業が外国人留学生等の多様性に応じた採用選考や採用後の柔軟な人材育成や待遇等を実践できるよう「外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック」を策定した。
3省は2019年8月、外国人材の受入れ・共生を進めるために、大学、産業界、支援事業者等と連携し、「外国人留学生の就職や採用後の活躍に向けたプロジェクトチーム」を発足。同プロジェクトでの検討を踏まえ、企業が外国人留学生等の多様性に応じた採用選考や、採用後の柔軟な人材育成・待遇等を実践する際に押さえておくべき12項目のチェックリストや企業事例を整理した「外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック」をまとめた。
同プロジェクトでは、当初、政府の「日本再興戦略」では、留学生の日本国内での就職率を現状の3割から5割に向上させることを目指すとされたが、実際の就職率は4割弱にとどまっており、抜本的な対策が必要と課題を指摘。その際、文部科学省からも、外国人側の就職に関する悩みとして「外国人留学生向けの求人が少ない」「日本の就職活動の仕組みが分からない」と言った課題が提示され、一方、採用する企業側からは「日本語能力が不十分」「日本企業における働き方への理解が不十分」とした回答が約4割あった。実際に外国留学生の定着率が低いことも度々指摘されてきている。
今回のハンドブックでは、入社前においては企業側が外国人採用の目的を明確にすることによる受入れ準備の促進、また、入社後では配属や評価の説明を手厚くすることによる納得感の向上を促した。日本語理解についても、「業務内容によらず、一律に高い日本語能力などを選考時の要件にすると、真に必要な専門性やスキルを有する候補者を見逃してしまう恐れ」があるとし、「専門性や実務経験に基づくスキル」に着目すべきとした。
一方、プロジェクトの中では、外国人には「個人の成果や評価へのこだわりが日本人よりもはるかに強い」「入社して3年から5年で海外赴任させてほしいと主張する人がいる」という指摘もあり、日本の「働き方」とのギャップ課題も大きいが、今回のハンドブックは丁寧なコミュニケーションを心がけるというに止めている。
【参照ページ】「外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック」を策定しました
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