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【日本】サントリー、コロナ対策で病院向け高濃度エタノール無償生産。他社も協調。規制が課題

 サントリーホールディングスは4月15日、新型コロナウイルス・パンデミックに伴う、消毒用エタノールの供給不足を補うため、傘下のサントリースピリッツ大阪工場で蒸留したアルコールの一部を医療機関に提供すると発表した。同製品製造にかかる費用は、すべて同社が負担する。

 同社は3月末、米国法人ビームサントリーにてアルコール消毒用エタノール製造を行い、ケンタッキー州の救急隊員、医療関係者等へ提供を行っている。日本での初動に遅れが生じた背景には、日本の規制がある。

 日本では、医薬品医療機器等法上、消毒用エタノールは医薬品、医薬部外品として製造、販売等において規制を受ける。アルコール飲料は、消毒用エタノール同様、エチルアルコール(エタノール)を原料としており、最も強い殺菌作用を持つ濃度76.9から81.4vol%で製造すれば、原理的には同等の効果が期待できる。しかし、消毒用エタノール製造として認可を受けていないアルコール飲料メーカーが製造した場合、「手指消毒用エタノール以外の高濃度エタノール製品」と分類され、消毒目的と謳うことも、効果を記すこともできない。

 厚生労働省は3月23日、消毒用エタノールの供給不足を受け、医療機関における手指消毒用エタノール以外の高濃度エタノール製品の使用を臨時的・特例的に許可。これを受け、酒造メーカー各社が、高濃度エタノール製品としても代用可能な酒類の製造に乗り出した。4月6日には、若鶴酒造が濃度77vol%の「砺波野スピリット 77」を、4月9日には、菊水酒造が濃度77vol%の「アルコール77」を発表した。

 しかし、依然課題も多い。アルコールは、原料のエタノールの時点で濃度に応じた酒税が課せられる。本来、消毒用エタノールは、酒税法上「変性アルコール扱い」とし、酒税を免除することができるが、今回酒造メーカーの製造する「手指消毒用エタノール以外の高濃度エタノール製品」は、変性アルコール扱いされないため、課税対象。高濃度では酒税も高額となり、今回発表のような無償提供ではメーカー側の負担が大きくなる。

 さらに、消防法では、重量%で60%(容量%で67%)以上のアルコールは、危険物として扱われており、新型コロナウイルス対策で求められる高濃度エタノール製品濃度は、これに該当してしまう。危険物の製造においては、防爆仕様のポンプや耐火設備が必要となるため、中小の酒造メーカーには通常製造ラインでの製造が困難となる。

 日本においても、企業による支援が確実に盛り上がっている。欧米先進国同様、機動的な取り組みに向けた更なる臨時的・特例的対応が求められる一方、継続的に安全性を担保する道を探る必要がある。

【参照ページ】医療機関向け消毒用アルコールの提供について
【参照ページ】新型コロナウイルス感染症の発生に伴う高濃度エタノール製品の使用について
【参照ページ】高濃度エタノール製造のためいま必要なこと

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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