首相官邸に設置された新型コロナウイルス感染症対策本部の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(専門家会議)は5月1日、日本での感染拡大の現状と対策をまとめた提言を発表。対応は「長丁場を覚悟しなければならない」とした上で、5月7日以降の対策に関する基本的考え方や今後求められる対応について伝えた。
まず、現状認識としては、3月20日過ぎから生じた発症者数の急増のスピードと比べ、現在確認される減少のスピードは少ないと指摘。理由としては、大都市圏からの人の移動により、地方に感染が拡大し、地方での感染の縮小のスピードが、東京に比べて鈍いからと推定した。また東京についても、減少幅が大きい東京都でも、増加スピードと比べたら少ないとした。感染の状況では、休業により夜間の接待飲食店での感染が減少する一方、病院内および福祉施設内での集団感染や家庭内感染が増えている点を挙げた。
感染の増加指標となる実効再生産数では、全国では、3月25日の2.0から4月10日には0.7に低下し1を下回った。東京都では2.6から0.5に下がった。しかし、未だ新規感染者数は多く、3月上旬やオーバーシュートの兆候を見せ始めた3月中旬前後の新規感染者数の水準までは下回っていない状況だという。
感染者の減少判断については、PCR等の検査数が諸外国に比べ少ないことについての疑問に回答。感染者の全てが把握できていないことは認めた上で、「検査件数が徐々に増加している中で陽性件数は全国的に減少傾向にある」「東京などで倍加時間が伸びている」ため、減少は間違いないと言及。詳細データは近日中に専門家会議に提出するとした。
行動変容の状況では、NTTドコモのモバイル空間統計を活用し状況を把握。渋谷駅周辺と難波駅周辺から半径1㎞圏内においては、10代および20代の若者を中心として昼夜問わず接触頻度が80%以上減少したことがうかがえ、背景には休校の影響と推測。他方、テレワークが普及してきている30代以上では接触の相対的減少の度合いが小さくなっていた模様。全体的には、政府目標であった接触頻度の8割減は達成できていないという。
今回の提言では、欧州や北米では一旦は今回の感染拡大のピークを過ぎつつあるとみられるが、アフリカなどではこれからも蔓延が継続する可能性があるとし、長期化の覚悟が必要という考えを示した。政府に対しては、長期的な対策の継続が市民生活や経済社会に与える影響という観点から、自殺防止を含めた必要な検討を行うべきと提言した。
【参照ページ】「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年5月1日)
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