インドでは、新型コロナウイルス・パンデミックで企業からNGOへの社会貢献活動支出が減少する見込みであることがわかった。NGOにはコスト削減と、ソーシャル・ディスタンシング下でのサービス提供継続の検討が求められている。
今回のサーベイ調査を実施したのは、ハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・ポーター教授とマーク・クラマー教授が2000年に発足したシンクタンクFSG。従業員数15人から250人までの大手開発援助NGO22団体と、インドの大企業のCSR部門18社に対し、45分間から60分間のインタビューを実施した。
インドでは、2014年度の新会社法施行により、純資産50億ルピー(約70億円)以上、②総売上高100億ルピー(約140億円)以上、③純利益5,000万ルピー(約7,000万円)以上のいずれかを満たす企業に対し、直近3年度の純利益平均の2%以上をNGOへの寄付などの社会貢献活動に支出することが義務付けられている。
今回の調査ではNGOからは、今年度のCSRからの寄付について懸念の声が多かった。大手NGOは、企業との長期契約を結んでいることが多いが、口頭約束の件も多く、今年度は履行されない可能性があるとの不安を感じているという。一方で、新たな寄付を得られたところもあった。
企業のCSR側からは、今年度は新型コロナウイルス・パンデミックに対する支援に支出するよう経営陣から指示があった旨を明かした。但し、社会貢献額は例年より30%から60%少なくなる見込みで、特に長期間パートナーシップを締結してきたNGOへの支援を優先する考えを示したところが多かった。また、口頭約束をしていた新規の寄付先に対しては、寄付できなくなる可能性があることも示唆した。またCSR側からは、今回のパンデミックを機に、ソーシャル・ディスタンシングが続く機関のNGOの事業継続に関心が高まっていることもわかった。
FSGは、今回の調査を受け、NGOに対し、寄付が少なくなることを見越し、コスト削減に着手することを提言。但し寄付減少幅についてはNGO毎に大きく異るだろうとした。また、NGOの経営資源を通じて、新型コロナウイルス・パンデミックへの支援策を打ち出すことも勧めた。またソーシャル・ディスタンシング下でのサービス提供のあり方についても検討すべきとした。
【参照ページ】The Impact of COVID-19 on CSR Funding for Indian NGOs
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら