米製薬大手アボットは5月8日、新型コロナウイルス発症後17日以上経過した患者からIgG抗体を検出する抗体検査について、特異度99.9%、感度100%だったと発表した。同研究はワシントン大学医学大学院で実施。Journal of Clinical Microbiologyに掲載された。
IgG抗体とは、感染症において、最も一般的に利用される抗体マーカー。感染過程では、まずIgM抗体が出現。感染症の発症に伴い、IgG抗体が出現する。その後、IgM抗体濃度は徐々に低下し、消失するが、IgG抗体は病原体が除去されても体内に長期間存在する。そのため、IgG抗体は現在および過去の感染のマーカーとして活用されている。また、特異度とは、偽陽性を除外し、抗体が特定の抗原にしか反応しないことを指す。感度とは、偽陰性を排除し、真陽性である確度を意味する。
今回発表の抗体検査では、新型コロナウイルス感染者のIgG抗体を適格に検出するため、兆候や現在の症状にかかわらず、感染経験や回復したかを確認可能だという。大規模抗体検査は、米疾病管理予防センター(CDC)の新型コロナウイルス感染症サーベイランス戦略の一環。抗体検査は、抗体が体内に留まる機関、集団感染規模、今後の経過に伴う変化等、ウイルスに関するより深い理解に繋がるとした。
同社は4月、 IgG抗体血液検査を開始。製造を大幅に拡大し、全米50州の病院およびリファレンス研究所に対し、抗体検査キット1,000万人分を出荷した。ワシントン大学医学大学院は、抗体検査の検証を支援した最初の医療機関の一つ。サンプルとして患者1,020人の検査を行い、特異度が99.9%であることを検証。PCR検査を行った症例125人の血清サンプル689種を分析し、発症後17日以上経過した患者では感度が100%だと明らかにした。
さらに同社は5月12日、米食品医薬品局(FDA)より、新型コロナウイルス分子検査に関する緊急使用許可(EUA)を得たと発表。Alinity m分子実験装置のリリースに向けた準備を進めているとした。
同装置は、24時間に最大1080回の検査を実行でき、効率的かつ柔軟性がある。3月下旬には、C型肝炎の化学分析用としての使用許可もFDAより取得済み。現在利用の装置m2000 RealTimeでは、24時間に最大480回の検査しかできず、様々な種類の検査を同時実行すると、結果を得るまでに時間がかかる。しかし、Alinity mを活用することで、複数種の感染症検査をいつでも実行でき、且つ2時間未満で結果を得ることができるとした。
【参照ページ】RESEARCH FROM UNIVERSITY OF WASHINGTON DEMONSTRATES HIGH PERFORMANCE OF ABBOTT'S SARS-COV-2 ANTIBODY BLOOD TEST
【参照ページ】ABBOTT RECEIVES FDA EMERGENCY USE AUTHORIZATION FOR COVID-19 MOLECULAR TEST ON NEW ALINITY™ M SYSTEM
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