中国の李克強首相は5月28日、第13期全国人民代表大会(国会に相当)第3回会議後の記者会見で、企業の負担軽減で4兆人民元(約60兆円)、追加の財政支出で2兆人民元(約30兆円)の新型コロナウイルス・パンデミックに対する大型経済刺激策を発表した。
中国では2008年のリーマンショックでも4兆人民元経済対策を打ち出しており、今回はそれを上回る規模となる。李克強首相は、今回の支援策は雇用保護に重点を置く考えを示した。リーマンショック時の支援ではインフラ建設への融資が中心となり、その後の中国経済で不良債権が大きな問題となったことからの反省もあると見られる。今回の4兆人民元の対策では、減税、金利負担低減、社会保障費の免除、電気料金の削除等、既存企業の固定経費削減に資するものとする考え。
一方、2兆人民元の対策は、国債発行で財源を確保した上で、財政出動を行う。また地方政府も合計1.6兆人民元の地方債を発行することも発表した。
同首相によると、中国での労働人口は9億人。そのうち6億人は月額1,000人民元(約15,000万円)以下だという。
中国共産党政治局会議は4月17日、「六保」という新たなスローガンを発表。「保居民就業(雇用保護)」「保基本民生(国民生活を保護)」「保市場主体(市場主体を保護)」「保糧食能源安全(食料・エネルギーの安全保障)」「保産業鍵供応(産業サプライチェーンの安定保護)」「保基層運転(社会末端組織の運営保証)」の6つを打ち出した。李克強首相は今回、六保を改めて強調しつつ、特に最初の3つの重要性が高いとし、今回の経済支援策のうち7割は直接消費者の収入確保につながるものにするとした。
その他、対外関係については、台湾関係では「一つの中国、九二共識、独立反対」の従来の立場を繰り返した。香港関係では、一国二制度を強調しつつ、憲法と香港基本法による統治の厳格化を表明した。対米関係では、対立にはメリットがないとし、自由市場の原則を堅持が、国が経済に介入しすぎるべきでないとの考えを示した。
日本の朝日新聞の質問に対しては、東南アジア諸国連合加盟10ヶ国に、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの6ヶ国を含めた計16ヶ国の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の成功を願いつつ、TPPについても前向きに参加を考えると述べた。
【参照ページ】国务院总理李克强回答中外记者提问文字实录
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