スイスのビジネススクールIMDの世界競争力センター(IMD World Competitiveness Centre)は6月8日、国ごとの競争力を示した2020年版「世界競争力ランキング(World Competitiveness Ranking)」を発表した。同センターは1989年に同ランキングの発表を開始し今年で32回目。2019年版は世界主要国63ヶ国・地域が対象となった。
同ランキングでは、255の指標を用いて集計。指標の64%は雇用統計や貿易統計といった公式定量データを基にしており、残り36%は、公式統計では把握しづらい「マネジメント慣行」「ビジネス規制」「労働市場」「姿勢・価値観」等の内容をIMDが実施する経営幹部意見調査「Executive Opinion Survey」の結果も踏まえて算出している。同調査では今年度版は6,000人以上の回答を得た。
国ごとの競争力を測るランキングでは、他に世界経済フォーラムが発表している「Global Competitiveness Report(世界競争力レポート)」がある。これら2つが世界的に非常に有名。
IMD世界競争力ランキング2020
- シンガポール
- デンマーク
- スイス
- オランダ
- 香港
- スウェーデン
- ノルウェー
- カナダ
- アラブ首長国連邦(UAE)
- 米国
- 台湾
- アイルランド
- フィンランド
- カタール
- ルクセンブルク
- オーストリア
- ドイツ
- オーストラリア
- 英国
- 中国
- アイスランド
- ニュージーランド
- 韓国
- サウジアラビア
- ベルギー
首位は2年連続でシンガポール。2位は昨年7位のデンマーク。またスイスとオランダも大きく順位を上げた。ブレグジットに揺れる英国は3つ順位を上げて19位。日本は34位で、過去5年間の推移は、26位、26位、25位、30位、34位と1997年以降で最低順位となった。東アジアでも、上位20位以内に入ったシンガポール、香港、台湾、中国のほか、順位を5つ上げた韓国の23位をも下回った。27位のマレーシア、29位のタイより評価が低かった。
首位のシンガポールは、分野別で1位はないものの、「経済パフォーマンス」「政府効率」「ビジネス効率」「インフラ」の4部門で全て7位以内と高位に付けた。2位デンマークは、「ビジネス効率」項目では首位だが、「経済パフォーマンス」は21位と伸び悩んだ。スイスは「政府効率」で2位、「インフラ」で3位だったが、「経済パフォーマンス」が18位と低迷した。「経済パフォーマンス」首位はオランダ、「政府効率」首位は香港、「インフラ」首位はスウェーデン。
(出所)IMD
日本の項目別ランキングは、政府効率とビジネス効率が大きく足を引っ張っている。ビジネス効率では、マネジメント慣行が63カ国中62位と下から2番目。生産性&効率も55位と下から9番目でかなり深刻な状況。政府系金融61位と物価59位も極めて低い。企業の競争力にとって非常に需要な「姿勢&価値感」でも56位で非常に悪かった。日本の凋落が止まらない。
【参照ページ】Singapore topples United States as world’s most competitive economy
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