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【国際】Verisk Maplecroft、人権展望レポート2020発表。新型コロナ禍でアジアの現代奴隷リスク悪化

 英リスク分析大手Verisk Maplecroftは9月3日、世界の人権進展をまとめたレポート「人権展望2020(Human Rights Outlook 2020)」を発表した。今回はアジア製造拠点における過去4年間の現代奴隷の増加と、新型コロナウイルス・パンデミックに伴う人権リスクの悪化に焦点を当てた。

 ヒューマントラフィッキングやサプライチェーン上の強制労働等のリスクを計測した現代奴隷インデックスの最新版では、バングラデシュ18位、中国20位、ミャンマー23位、インド25位、カンボジア32位、ベトナム35位、インドネシア44位と、高リスク国としてアジア勢が並んだ。いずれの国も、取得スコアは2017年の198カ国比で下回る水準。

 アジアの製造業は、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、数百万人規模の失業者がインフォーマル経済へと追いやられ、現代奴隷となるリスクが高まっていると指摘した。また、インフォーマル経済状態の労働者でも、パンデミックに伴い、160万人が悪影響を受けていると国際労働機関(ILO)は分析。アジアのインフォーマル経済従事者の65%が、ほとんど、または全く労働者保護を受けておらず、強制労働リスクが高まっている模様。同リスクは、製造業に限らず、建設・農業・サービス・ホスピタリティ等にも波及しているという。

 現代奴隷インデックスでは、北朝鮮、イエメン、シリア、南スーダン、イラン、ソマリア、スーダン、コンゴ民主共和国、ガンビア、ブルンジの現代奴隷リスクが最も高い結果となった。しかし、持続可能な調達を行う企業や、ESG投資家、倫理的消費者にとって、最大の関心は、小売商品や原料の大部分が生産される国。そのためアジアへの懸念の注目度は高い。

 アジアの製造業のリスクが高まる主要因は、深刻な法令違反とその発生頻度にあると指摘。特にバングラデシュ、カンボジア、中国、インドネシア、ベトナムで見られるとした。アパレルの主要製造国のインドとバングラデシュは、リスク指標について、中国やミャンマー他32カ国と同水準の「極めてリスクが高い」段階にまで初めて凋落。背景には、バングラデシュの法令違反や労働法試行の希薄化、インドでの法令執行の低下があるという。

 また、ベトナムは近年、法令違反増加数が最大となっており、「極めてリスクが高い」に降格となる懸念があるという。カンボジアは、違反の増加だけでなく、執行能力が大幅悪化。ワースト48位(2017年)からワースト32位(2019年)へと大幅な悪化となった。労働法執行については、中国でもスコア悪化が見られるという。

 同レポートは、新型コロナウイルス対策の旅行制限等の措置は、企業による倫理的労働慣行の実施に向けた監査も困難にしたと分析。現代奴隷に関するレピュテーションリスクは、近年で最も高まっているとし、ロックダウン解除後、経済のゆるやかな再生時にも現代奴隷リスクは残り続けると指摘した。

 英国とオーストラリアは、現代奴隷に関する報告期限の延長に伴う新たなガイダンスを発行。同ガイダンスでもパンデミックは、現代奴隷リスクを増加させると明示している。カナダやドイツ等でも同様の法律が制定されており、企業には不確実性の中でも対応が期待される。特にアジアは、世界の製造拠点となっているため、多くの企業にとって、必須の現代奴隷に対するポリシーやESG要件を満たす上で、複雑な課題となると警鐘を鳴らした。

【参照ページ】Modern slavery risks surge in Asia’s manufacturing hubs, pandemic worsens outlook

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