気候変動に関する金融リスクを検討するための中央銀行・金融当局ネットワーク「気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(NGFS)」は9月10日、金融機関における環境リスク分析の在り方をまとめたレポートを発表した。銀行、運用会社、保険会社に対し気候変動リスクを踏まえた業務への転換を促していくための課題と方向性を提示した。
同レポートでは、金融における環境リスク分析(ERA)をメインストリーム化する上で、金融当局に求められる6つの強化ポイントを示した。
- 環境リスク分析に対する認知拡大
- 金融業界向けのキャパシティ・ビルディング
- 自主的に先行実施している金融機関へのサポート
- 金融機関に対しリスク・エクスポージャーとERA結果の開示を推奨
- 主要リスク指標(KRI)等の策定
- 経済活動に関するグリーン・タクソノミーの策定
また今回同時に、ERAを先行実施している金融機関の実施手法や、金融サービスプロバイダーが提供しているERA手法について、約40社の事例を分析したケーススタディも発表した。その中では、米国、欧州、中国の企業の事例を中心に紹介されたが、日本企業の事例はなかった。
NGFSは今回、金融機関の環境リスク分析を推進する上で、タクソノミー策定もポイントに上げたが、日本政府では経済産業省が、タクソノミー策定の潮流には強く反発している。NGFSに加盟している金融庁は、国際的な金融協調と日本の産業政策との間で、板挟みになりつつある。
【参考】【日本】経産省、クライメート・イノベーション・ファイナンス戦略2020発表。グリーンよりトランジション(2020年9月18日)
【参照ページ】NGFS promotes environmental risk analysis in financial industry
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