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【国際】現在の稼働中原発は31ヶ国408基。2019年の発電量は水力除く再エネを初めて下回る

 独立エネルギー・コンサルタントのマイケル・シュナイダー氏らの研究チームは9月24日、世界の原発産業の現状をまとめた年次レポート「世界原子力産業ステータスレポート(WNISR)」の2020年版を発表した。2019年には、当初稼働開始予定だった原子炉13基のうち、ロシアで3基、中国2基、韓国1基の合計6基が稼働を開始。2020年前半では新たに稼働を開始した原子炉はなかった。一方、2020年前半には、フランス2基、米国1基の合計3基の原子炉が閉鎖した。

 WNISRは、1997年に、反原発グループのフランス支部WISE-Paris、国際環境NGOグリーンピース・インターナショナル、ワールド・ウォッチ研究所の3者が委託される形で発行を開始。2004年の第2回レポートは欧州議会の党派「欧州緑グループ・欧州自由連盟」が委託。その後、委託者を変えながらも、毎年発行を続けている。

 2020年7月1日現在稼働中の原子炉は、長期停止のものを除き31ヶ国408基。前年から10基の減少、ピークだった2002年の438基と比べ、30基減少となった。長期停止炉は、現在31基。内訳は、日本24基、英国3基、韓国2基、中国とインドが1基ずつ。結果として、現在稼働中の原子力発電所の設備容量は362GWで、2019年比2.2%減少した一方、発電量については、2019年時点で2,657TWhとなり、過去最高値の2006年比では、3TWh少ないものの、2018年比3.7%増加となった。発電量増加の背景には、中国での発電量19%増加があると説明した。

 世界の総発電量に占める原子力発電の割合は2019年、2018年比0.2%増の10.35%。ピークだった1996年の17.6%から微量ながら着実に比率が下がってきている傾向だという。ただし、一次エネルギー消費量の割合に換算した場合4.3%となり、2014年から変化していないとも指摘した。現在、原子力発電所の発電量上位5カ国は、米国、フランス、中国、ロシア、韓国。5ヶ国で全体の7割に相当し、特に米国とフランスで45%を占めている。2019年には、水力を除く再生可能エネルギーの発電量が、初めて原子力発電の発電量を上回った。

 日本では、2011年の福島事故以来、最大の発電量を記録。これまで原子力発電所9基が再稼働し、発電比率は、7.5%に上昇した。震災による福島の原子力発電所の事故においては、使用済み核燃料や燃料デブリ、汚染水処理等、課題が山積し、未だ解決に向けえていないと強調した。

 一方、7月1日時点では、17ヶ国で52基、設備容量53.5GWの新たな原子炉建設が進行中。特に中国の建設が活発で、15基14GWの原子炉が建設中だとした。また、中東諸国も天然ガス依存からの脱却を目指して原子力発電の開発を進行中。UAEは今年、アラブ諸国で初めて商業炉・バラカ原子力発電所の稼働を開始し、現在追加で3基の建設も進めている。イランでも建設が再開し、トルコでも2基が建設中。

【参照ページ】World Nuclear Industry Status Report 2020

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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