グリーン水素推進の国際業界イニシアチブが発足し、7社が創設メンバーとして加盟した。国連気候変動枠組条約事務局も活動を支援し、2026年までにグリーン水素の生産量を大規模に拡大し、価格も大きく下げていく。日本では「オール・ジャパン」を構想し、88社が「水素バリューチェーン推進協議会」を発足したが、海外では国際的な推進イニシアチブの場が誕生しつつある。
【参考】【日本】88社、水素バリューチェーン推進協議会を発足。社会実装加速で政府に提言まとめる(2020年12月8日)
今回発足したイニシアチブは、「グリーン水素カタパルト」。加盟企業は、オーステッド、イベルドローラ、ヤラ・インターナショナル、エンビジョン、CWPリニューアブル、ACWAウォーター、スナム。今回7社は、2026年までにグリーン水素の生産量を現在の50倍の25GWまで伸ばし、さらに水素生産コストを1kg当たり2米ドル未満にまで現状から半減させるビジョンを設定した。
最近の研究では、水素コストが2米ドルを下回ると、ティッピング・ポイントを迎え、電力、製鉄、海運、肥料生産等の分野で水素エコノミーが欧州等で急速に進展すると言われている。また今回の発表では、グリーン水素から生成するグリーン・アンモニアも火力発電の代替燃料として検討され始めていることも指摘した。
グリーン水素カタパルトは、気温上昇を1.5℃に留めるために2050年までにカーボンニュートラルを実現するための手段として、グリーン水素を位置づけている。グリーン水素は、2050年までに10兆米ドル市場に発展し、世界のエネルギー需要の25%を供給するまでに成長するとみられている。
同イニシアチブは、経済効果としても、1,100億米ドルの投資を動員し、雇用も12万人分創出することを狙う。加盟企業は、共同プロジェクトを展開し、米ロッキーマウンテン研究所が事務局を担う。
国連気候変動枠組条約事務局も、グリーン水素カタパルトに期待を寄せており、2021年の第26回気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)の場でも、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局が6月に発足した非国家アクター向け「Race To Zero」キャンペーンの一環として、企業アクションとして大きく取り上げられる予定。
【参照ページ】Green Hydrogen Catapult
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