中国商務部は1月9日、国務院の承認を得た上で、商務省命令2021年第1号「外国法および措置の不適切な域外適用を阻止するための措置」を公布した。即日施行された。同法は、外国法・措置が不適切と判断した場合に、国内企業等に外国法の遵守を禁止するという極めて強い対抗措置の規定が定められている。
同令は、外国法規制の域外適用は、国際法及び国際関係の基本規範に違反することを前提とし、不当に中国の国民や法人が、他国の国民や法人との間での正常な経済貿易関係を、不当に禁止または制限するとの考えを示した。一方、中国政府は、自立的な外交政策、相互の主権の尊重、相互の内政不干渉等の観点を遵守し、国際条約や国際的な義務を遵守するとした。
その上で今回、国務院の経済関連部門が集う「作業メカニズム」を設立し、外国法・措置の域外適用の被害を受けた中国国民や法人からの通報、評価、対応制度を構築した。具体的には、域外適用で活動が禁止または制限された中国市民、法人の法務担当者等は、30日以内に事案を国務院に報告する。
それを受け、作業メカニズムは、国際法や国際関係の基本原則の違反の有無、中国の国家主権、安全保障、発展利益に対する影響、中国国民・法人等の正当な権利・利益への影響、その他考慮すべき点の4つの観点から評価を実施。それにより不適切と判断された場合、当該外国法・措置の承認、執行、遵守等を禁止する発令が可能となった。また同メカニズムには、発令した禁止令を状況に応じて一時停止や取消をする権限も付与された。
但し、作業メカニズムの禁止令に従うと損害等が予想される場合は、事前に国務省の経済関連部門に対し、外国法規制の遵守を可能にする申請を出すことができる。当該部門は、受理日から30日以内に決定を下すが、緊急の場合は適時決定を出す。また、禁止令に従ったことで、中国国民や法人が重大な損害を被った場合は、当該部門は必要な支援を提供する。
また、作業メカニズムの禁止令に従わずに、中国国民や法人が外国法・措置を遵守したことで損害を被った他の中国国民や法人は、人民法院に提訴し、補償を請求できることを明記した。但し、事前に外国法規制の遵守の申請を出し認められていた場合は、損害賠償が免除される。
同令が定める報告義務や、禁止令を遵守せず外国法規制を遵守した場合は、国務院の経済関連部門からの警告、是正命令、重大な場合には罰金も科される。また、報告を受け取った国務院部門側職員が、機密保持を怠った場合は、刑事責任も追及する。
同令は、中国政府が締結した条約に基づき外国政府が定めた法規制に対しては適用しないことは明記した。
【参照ページ】商务部令2021年第1号 阻断外国法律与措施不当域外适用办法
【参照ページ】商务部条约法律司负责人就《阻断外国法律与措施不当域外适用办法》答记者问
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