自動車とモータースポーツの国際業界団体・国際自動車連盟(FIA)の総会は12月17日、同団体が運営しているモータースポーツ協議で、2030年までにカーボンオフセット購入なしで、スコープ3まで含めた二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を実現するためのロードマップを発表した。
FIAは、フォーミュラ1世界選手権(F1)、世界ラリー選手権(WRC)、世界耐久選手権(WEC)、フォーミュラE世界選手権(FE)、世界カート選手権等を運営している。加盟クラブは146ヶ国で243団体。運営大会数は303。日本からは日本自動車連盟(JAF)がFIAに加盟している。
FIAのロードマップでは、2021年から二酸化炭素排出量削減プランを実行に移し、2025年に2019年比で20%減、2030年に同50%減を目指す。その上で、排出している分は、まずはカーボンオフセットを購入し、2021年の時点でカーボンニュートラルを実現。その後は、排出量そのものの削減とともに、カーボンオフセットの購入量を減らしつつ、2027年からは二酸化炭素を大気中から吸収する技術を導入し、2030年にはカーボンオフセットを使わずに、カーボンニュートラルを達成する。
(出所)FIA
スポーツ界では、国際オリンピック委員会が早くから国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局と連携を開始しており、2018年にUNFCCCが「気候アクションのためのスポーツ原則」を発表。発足当初からFIAのフォーミュラEは署名をしていたが、その後、FIA自身も署名を行っていた。
【参考】【国際】スポーツ17団体、UNFCCC策定「気候アクションのためのスポーツ原則」に署名。IOC、FIFA等(2018年12月17日)
FIAは今回、カーボンニュートラルにおいて、3つのゴールを設定。1つ目は、FIAの加盟機関も含めて、活動全てでカーボンニュートラルを実現することだが、2つ目は、モータースポーツを通じた技術イノベーションの先導、組織内での専門知識を高め、広く自動車業界へのアドボカシー能力を高めることとした。そのため、技術イノベーションと組織マネジメント能力強化でも2030年までのロードマップを定めた。
FIA自身の排出量では、スコープ3が大半。2019年の排出量18,500tのうち、出張が69%、物品輸送が22%、電力購入や資材購入が9%となっている。また、大会運営では、レースカーの排出量をカーボンニュートラルにするために、今回、バイオ廃棄物を活用した持続可能な燃料とパワートレイン部品を研究開発するプロジェクトも発表した。
【参照ページ】FIA INTRODUCES SUSTAINABLE FUEL INTO FORMULA 1 AND COMMITS TO BECOMING CARBON NEUTRAL FROM 2021 AND NET ZERO BY 2030
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