エネルギー世界大手米シェブロンのCVCシェブロン・テクノロジー・ベンチャーズは1月14日、米カリフォルニア州サンノゼに本社を置く炭素回収・利用・貯留(CCUS)スタートアップのブルー・プラネット・システムズに出資したと発表した。ブルー・プラネット・システムズはシリーズCの資金調達を行っていた。今回の出資と同時に、両者は実証プロジェクトと提携する覚書も締結した。
ブルー・プラネット・システムズの技術は、排気管から回収した二酸化炭素を活用し建材用のコンクリートの中に骨材として炭素を固定化する技術を持つ。精製過程では、二酸化炭素の濃縮等を必要としないため、経済合理性も高い。同社に対しては、三菱商事も2020年9月に資金提供と実証プロジェクトとでの協議契約を発表している。
一方、炭素回収・利用・貯留(CCUS)技術に関しては、国際環境NGOのFriends of the Earth(FoE)のスコットランド法人から、過渡に期待すべきではないとのレポートも出ている。理由としては、現在のCCUSの81%は、石油増進回収(EOR)として油田で活用されており、石油採掘の減少とともに活用用途としても消失してまうことや、米テキサス州のペトラ・ノバ石炭火力発電所に導入されたCCSでは、継続的な機械トラブルにより、当初目標の17%の回収にとどまっていることをあげた。
同レポートによると、現在、世界で運用されているCCUSで二酸化炭素回収能力は年間3,900万tで、化石燃料による世界の年間排出量の約0.1%にすぎない。英国ではCCSの本格的な運用はまだ開始されていないが、英国独立行政機関の気候変動委員会(CCC)は、英国内で2050年までに最大で17,600万tの二酸化炭素をCCSで回収する見通しを示しているが、この目標を達成するためには、英国だけで世界の現在のCCSの4倍もの量を、EORを中心に展開しなければならない。
国際環境NGOグリーンピースも1月11日、CCUSを含む二酸化炭素除去技術(CDR)全体の分析レポートを投資家向けに発表している。同レポートは、直接大気回収(DACCS)、CCS付きバイオエネルギー(BECCS)、AR(植林)の3つの可能性について分析し、技術の不確実性、土地利用の可能性等から、同様に過渡な依存を慎むべきとしている。各セクターで二酸化炭素排出量を削減する上でのCDR依存度の最大値としては、航空業界で2060年で30%、2050年で化学で45%、セメントで35%、鉄鋼で25%とし、発電と交通・輸送では2050年までにCDRに依存しないカーボンニュートラルを実現しなければならないとした。
その中、三菱重工業は1月27日、米国子会社の米国三菱重工が、改修した二酸化炭素と再生可能エネルギー電力で生成する燃料「エレクトロフューエル」の革新的技術を持つ米カリフォルニア州のインフィニウムに出資したと発表した。航空機、船舶、トラック等の燃料を生産するという。インフィニウムに対しては今回、アマゾンのClimate Pledge Fund、英APベンチャーズ等も出資した。
【参照ページ】Chevron Invests in Carbon Capture and Utilization Startup
【参照ページ】CO2有効利用への取組み/米国Blue Planet Systems Corporationとの協業契約締結について
【参照ページ】Carbon Capture & Storage can’t solve the climate crisis, says new report
【参照ページ】Net expectations: assessing the role of carbon dioxide removal in companies’ climate plans
【参照ページ】CO2と再生可能エネルギーからクリーン燃料を生成へエレクトロフューエル技術でリードするインフィニウム社に出資
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