気候変動に関する金融リスクを検討するための中央銀行・金融当局ネットワーク「気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(NGFS)」は3月24日、気候変動緩和を実現するために、各国の中央銀行が実施すべき9つの金融政策をまとめた提言レポートを発行した。
各国の中央銀行は、金融政策の中でも金融システム全体のコントロールを扱うマクロプルーデンス政策を所管していることが多い。今回のレポート発行にあたっては、事前にNGFS加盟機関の間で気候変動に対処するための金融政策の決定因子に関する検討するとともに、サーベイも実施し、幅広い意見も集めた。
まず、中央銀行が金融政策を検討する上での重要原則として、金融政策の実効性の評価、気候変動緩和への貢献度合い、リスク保護措置の実効性評価、オペレーションのフィージビリティ(実行可能性)の4つをチェック項目として示した。その上で、金融政策の9つのオプションを提示した。
9つのオプションの内容は、基準貸付利率の設定、担保資産プライシング、量的緩和(資産購入プログラム)の3つで構成されている。基準貸付利率の設定では、貸付先の気候変動リスク因子の反映、低炭素担保資産への利率優遇、基準貸付先への気候変動情報開示の要求の3つ。
担保資産プライシングでは、気候変動緩和を行っている場合のヘアカット率の優遇、適格担保としてのネガティブスクリーニング、適格担保としてのポジティブスクリーニング、担保資産に関する気候変動リスクでの目標指標設定の要求の4つ。
量的緩和では、購入資産の気候変動緩和対応での優遇、購入資産のネガティブスクリーニングの2つ。
また、同提言レポートでは、中央銀行としても気候関連財務情報開示を行うべきと提言した。
さらにNFGSは3月31日、現在の市場のサステナブルファイナンスの動向について、情報開示、リスクマネジメント、資本動員の3つの観点から分析したレポートと、グリーンファイナンスの状況を表す21の指標の状況をグラフ化したレポートも発行した。
NGFSは同日、NGFSとしての年次活動報告「アニュアルレポート」も発表。加盟機関が83にまで増えていること等を伝えた。
【参照ページ】NGFS presents options for central banks to adapt monetary policy operations
【参照ページ】NGFS presents an overview of sustainable finance market dynamics along with a dashboard on scaling up green finance and publishes its Annual Report
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