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【国際】NGFS、INSPIREと合同で「生物多様性と金融安定化」研究グループ発足。馬駿氏のリード

 気候変動に関する金融リスクを検討するための中央銀行・金融当局ネットワーク「気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(NGFS)」は4月6日、独立環境シンクタンクInternational Network for Sustainable Financial Policy Insights, Research, and Exchange(INSPIRE)と合同で、生物多様性と金融安定化に関する研究グループを発足したと発表した。NGFSが気候変動の枠を越え、生物多様性も活動テーマに加えてきた。

 生物多様性に関しては、5月に中国・昆明で国連生物多様性条約第15回締約国会議(CBD-COP15)が開催される予定。また、世界経済フォーラムからは、2020年に生物多様性の喪失は経済リスクになっていることを示す2つのレポートを発表し、世界自然保護基金(WWF)が2020年9月に発表した「生きている地球レポート」と、国連生物多様性条約事務局が2020年9月に発表した「地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)」でも大幅に生物多様性が喪失している現状が示されていた。2021年に入ってからは、国連環境計画(UNEP)が気候変動、生物多様性喪失、環境汚染への対処に関する包括的な報告書「Making Peace With Nature」を、英政府からは「ダスグプタ・レビュー」の最終報告書も提言されており、CBD-COP15では生物多様性の喪失がもたらす経済リスクも大きな議題になる見込み。

 すでに金融機関も、生物多様性に向けては動き出しており、金融世界大手26社は2020年9月「生物多様性のためのファイナンス協定(Finance for Biodiversity Pledge)」を発足。加盟金融機関は増えており、加盟金融機関は2024年までに生物多様性に関するインパクト測定、目標設定、情報開示にコミットしている。

 今回、NGFSと手を組んだINSPIREは、ClimateWorks Foundationとロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LES)のグランサム研究所がNGFSとの協働のために運営している英国所在の独立シンクタンク。発足した合同研究グループは、NGFSのリサーチ・ワークストリーム部門とINSPIREが共同委員長を務め、NGFSに加盟している金融当局とINSPIREの専門家が委員となる。NGFSのリサーチプログラム部門長は、元中国人民銀行研究局のチーフエコノミストで、G20サステナブルファイナンス・スタディグループの共同議長を務める馬駿氏。

 NGFSは、中央銀行や金融監督当局は、気候変動から自然環境リスク全般に関心を拡大してきており、環境保全と生物多様性保全も射程に加えるようになったと説明。生物多様性や生態系サービスの喪失が金融安定化に及ぼす影響のメカニズムを整理し、金融当局の政策アジェンダに統合していけるよう検討するという。

【参照ページ】NGFS and INSPIRE launch a joint research project on ‘Biodiversity and Financial Stability’

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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