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【アメリカ】EPA、ハイドロフルオロカーボンの段階的廃止でルール案発表。企業割当制度開始へ

 米環境保護庁(EPA)は5月3日、2020年12月制定の米国イノベーション及び製造業法(AIM法)に基づき、ハイドロフルオロカーボン(HFC)を段階的に廃止するための規則案を示した。同法は、2019年1月に発効したモントリオール議定書キガリ改正に基づく措置。10月1日までに最終ルールを発表する。HFCは主にエアコンや冷蔵庫・冷凍庫の冷媒として使用されている。

【参考】【国際】モントリオール議定書キガリ改正、2019年1月発効。HFC32対応に追われる日本政府と日本企業(2017年12月7日)

 ハイドロフルオロカーボン(HFC)は、代替フロンとして産業利用が進んできたが、温室効果があることが発覚し、モントリオール議定書キガリ改正で世界的な段階的廃止が決定した。米国も同改正に未批准だが、現バイデン政権は批准する政策を掲げている。

 前トランプ政権下で成立したAIM法は、約20種類が特定されているHFCの製造と使用を段階的に廃止することを明記。日本の官民が国策で開発してきた「HFC32」も規制対象物質に該当する。HFCを製造している企業はEPAの報告義務を負う。但し、同法では、HFCの回収、再利用、リサイクルは「生産」には含まない。

 今回のEPA規則案では、HFCを段階的に廃止することで2100年までの気温上昇を0.5℃分抑制する効果があり、2022年から2050年までの経済利益は2,839億米ドル(約30兆円)にもなると試算。そのため、キガリ改正で定められているとおりに、HFCの生産・消費量の割当制度を企業に対し導入し、2036年までに製造・輸入量を2011年から2013年の年平均と比べ85%削減する。2036年の単年だけでも二酸化炭素排出量を1.87億t削減でき、2022年から2050年までに総計47億tを削減できるという。

 10月1日から施行される予定のルールでは、2022年と2023年の企業割当量を設定する。今後パブリックメントを募集し、最終ルールを固める。

 キガリ改正に関しては、日本政府も対応に追われている。現在、日本で主力のHFC32は、家庭用や業務用のエアコンに大量に使用されているが、現状、代替の冷媒が存在していない。経済産業省は目下、代替冷媒の開発支援を行っている。HFC32を大量に保有するダイキン工業は、HFCの回収・再利用で当面の間規制影響を回避するものの、長期的にはノンフロンへの移行を迫られる。


(出所)経済産業省

【参照ページ】EPA Moves Forward with Phase Down of Climate-Damaging Hydrofluorocarbons
【参照ページ】AIM Act
【参照ページ】代替フロンに関する状況と現行の取組について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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