国際環境NGO7団体は7月15日、欧州委員会に対し、現在EUで制定作業中の環境・人権デューデリジェンス規則の対象に、皮革も含めるよう求める共同声明を発表した。特に、ブラジル・アマゾンでの森林破壊につながっている牛皮を対象にするよう求め、輸入規制にまで言及した。
今回の共同声明を発表したのは、マイティ・アース、Rainforest Foundation Norway、環境調査エージェンシー(EIA)、fern、キャノピー等。ブラジルのアマゾン熱帯雨林破壊の最大の原因が牛の放牧であり、牛肉のほとんどは国内消費用に生産されているのに対し、皮革の80%は輸出向けと指摘。特に、南米産の革は、イタリア等のEU諸国に輸出され、イタリアでは世界の皮なめし産業の売上全体の20%を占めているという。
同声明によると、2021年には、イタリアが中国に代わってブラジル産革の最大の輸出市場となり、イタリアに輸入されるウェットブルー(クロムなめし)皮革の36%以上がブラジル産とし、EUの皮革産業は、ブラジルのアマゾン熱帯雨林破壊に加担していると伝えた。
同声明によると、大手ブランドは、皮革は、食用肉の副産物であり、責任は薄いと主張しているという。しかし、皮革のEUへの輸入額は、ココア、大豆、牛肉、パーム油等を上回り、巨大な産業になっていると指摘。食肉事業者の多くも、副産物である皮革を販売することで大きな収益を得ており、皮革産業が食肉産業を支えていることも問題視した。
皮革については、アパレル事業者だでなく、自動車産業での内装品での使用が半分を占めており、フォルクスワーゲン、BMW、ダイムラー、ステランティス、ルノーに対しても矛先を向けた。
一方、アパレル大手VFコーポレーションに対しては、ブラジル産皮革の不買運動を開始する等、率先して動いていることを高く評価した。自動車、ファッション、家具業界の顧客は、低コストの合成皮革へ代替や、バイオ素材の代替品を探す傾向もあるとし、天然皮革を辞めることは企業競争力強化にもつながると主張した。
【参照ページ】7 EU NGOs Call on the EU Commission to include leather as a key forest-risk commodity in new deforestation law.
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