米150社以上は7月14日、米連邦議会に対し、市民の投票権を保護し、投票妨害と呼ばれる行為を防ぐ立法を求める共同声明を発表した。米国では、連邦最高裁判所が7月、投票の一部を無効とすることを認める裁判所判決を下し、特にマイノリティの投票が無効になる可能性が出てきた。マイノリティ支持層の多い民主党支持者からは危機感が募っている。
今回の事案は、連邦最高裁判所が7月1日、アリゾナ州での訴訟に関し、投票権法に関する重大な解釈を下したことに端を発する。まず、親族や介護者以外の第三者が不在者投票用紙を回収して投票所に持ち込むことを禁止した。また、投票者が、自分の投票所地区以外の場所で投票した票を無効とすることも認めた。いずれの判決も裁判官の6対3の評決だった。現在の連邦最高裁判所は、共和党政権時代に指名された保守派の裁判官が多数派を占める。
同判決に対しては、投票アクセスを確保することは、不正行為を根絶することを重要とする考える人から大きな批判を集めた。特に、自身の投票所に自分で出向くことができない人が多い非白人層の投票を妨害する行為として、民主党支持派が大きく反発している。
さらに、連邦最高裁判所は、カリフォルニア州での裁判について、慈善団体に年間20万米ドル(約2,200万円)以上を寄付した場合には、米内国歳入庁に提出する納税申告書のコピーを事前団体に提出することを義務付けているが、表現の自由と結社の自由の観点から、この州法を違法と判断した。こちらも6対3の評決だった。慈善団体には政治活動団体も多く、今回の連邦最高裁判所の判断は、政治活動の透明性を損なうものと批判されている。
今回の企業からの署名は、特にアリゾナ州での投票権抑制の判決結果を危険視し、連邦議会に対し1965年投票権法を改正し、裁判所の判断を覆す法令の制定を求めるもの。また、1963年のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師のワシントン大行進を主導した「Big Six」の一人で、公民権運動における重要な役割を果たしたジョン・ルイス民主党下院議員が7月17日に逝去したことも影響し、公民権を守る動きとして勢いづけている。
今回の共同署名に参加した企業は、アップル、アマゾン、グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、インテル、HP、シスコシステムズ、ペイパル、スクエア、セールスフォース、Zoom、Box、airbnb、Lyft、リーバイ・ストラウス、パタゴニア、H&M、バートン、アンダーアーマー、ベストバイ、ペプシコ、ユニリーバ、ネスレ、ダノン北米法人、ハーシー、マース、モンデリーズ・インターナショナル、スターバックス、ターゲット、イケア、テスラ等。
【参照ページ】Businesses Call on Congress to Amend Voting Rights Act to Honor the Late John Lewis this Session
【参照ページ】We stand for the equal right to vote
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