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【日本】日本銀行、「気候変動物理的リスクで実質GDPが大きく下振れ」。分析レポート

 日本銀行の金融機構局は3月14日、「気候変動に伴い日本の金融機関が直面する物理的リスク」レポートを発表した。気候変動に伴い日本の金融機関が直面する物理的リスクについて、水害が実体経済・地価・金融機関財務に及ぼす影響を中心に考察した。

 今回のレポートは、過去15年から40年程度の日本のデータを用いた実証分析を実施。水害被害額の約6割は民間企業設備や民間住宅などの民間資産の毀損で、残りの約4割は道路や橋梁、堤防等の社会資本の毀損だった。とりわけ「製造業」「電気・ガス業」「卸・小売業・飲食店」の占める割合が目立った。また、地方での被害が大きく、地域金融機関が大きな信用リスクを背負ってきていることも指摘した。

 民間資産への直接的な毀損と、社会資本の毀損の双方が実体経済に及ぼす影響では、GDPを一度大きく押し下げるものの、水害発生の翌年頃からは、資本ストックの復元に向けて設備投資が上振れに転じていき、水害発生の5年から6年後までには影響は概ね解消するという。この間の実質的なGDPの押し下げ幅は最大でマイナス0.1%程度。

 水害が地価に与える影響では、水害が多い地域ほど、早期に地価に織り込まれていき、水害による下落効果が小さかった。

 他方、将来に向けた長期的な予測では、「気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(Network for Greening the Financial System;NGFS)」の推計結果を紹介。現状ペースでは、2100年の水害被害額は2020年の9倍になる一方、カーボンニュートラル化を円滑に進めた場合2.3倍にとどまるという。

 これをもとに日本銀行で今回試算したところ、現状ペースでは、2100年の実質GDPの水準を最大で約0.6%、金融機関の時価ベースの純資産の水準も約6%下振れする。一方、カーボンニュートラル化を円滑に進めると実質GDPや金融機関の純資産への影響は軽微。

 慢性リスクの分析では、NGFSが労働生産性低下をもとに影響を算出していることを紹介。現状ペースでは、実質GDPが、2℃上昇の2050年頃には3%程度マイナス、3℃強となる2100年には7%程度マイナスとなる見込み。一方、円滑にカーボンニュートラルを進めると2100年でも3%弱マイナスに抑えられる。

【参照ページ】気候変動に伴い日本の金融機関が直面する物理的リスク

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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