日本政府は6月7日、「令和3年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2022)」を閣議決定した。
今回の白書の大きな特徴は、新型コロナウイルス・パンデミックによる行動変容と、ロシアのウクライナ戦争によるエネルギー事情の変化という2つの変化を分析しつつも、今後の大きな方向性については何も示せなかった点。政府として大きな対策がないことをあらためて浮き彫りにした。
新型コロナウイルス・パンデミックの影響では、産業や運輸ではエネルギー消費が減少したが、家庭ではエネルギー消費が増加。今後、産業や運輸では消費が回復する見通しだが、家庭では行動変容の定着でエネルギー消費が従来まで下がらない可能性を指摘した。それへの対策としては、「あらゆる政策手段を総動員して取り組んでいく必要がある」。
ロシアのウクライナ戦争の影響では、カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーを大量導入し、調整電源としてガスをスポット契約で輸入している欧州は、市場の価格変動の影響を受けやすいと指摘。そのための対案としては、「化石資源開発から消費者へのエネルギー供給までのバリューチェーンを最適化していくことの重要性を踏まえ、改めて各種の制度設計を検討していく必要がある」。
一方、ガスをターム契約で調達している日本も、長期的なエネルギーコストが最終的には同様に上がっていくとも指摘。それへの対案は、「日本経済全体としては、エネルギー源の多角化や調達先の多様化等を通じてエネルギーの輸入価格を抑えながら、エネルギー生産性を向上させることを第一として、それでも補いきれない場合には、企業・消費者の間でエネルギー価格の上昇をどのように負担するのか、議論を深めていくことが重要」。
他方、世界的にカーボンニュートラルの動きは「加速」しているとも表現。さらに、日本が誇ってきたエネルギー生産性の優位は、「製造業の海外移転が進んでいる日本の優位性の実態は、縮小してなお過大に見えている」とも言及。それへの対案としては、岸田首相のクリーンエネルギー戦略の検討状況を紹介にするにとどまった。
【参照ページ】「令和3年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書)」 が閣議決定されました
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