Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の96%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【EU】欧州委、ガス使用量15%減を提案。立法化へ。再エネ転換が最優先。石炭、原発も一時的には

 欧州委員会は7月20日、2023年の春まで、欧州でのガス使用量を15%削減する新たな政策を発表した。EU理事会や欧州議会と調整し、立法化を目指す。

 今回の措置は、ノルド・ストリーム1からのガス供給が途絶し、ロシア・リスクがさらに高まったことへの措置。当初、欧州委員会とEU加盟国は、冬場の燃料ピークシーズンに備え、今からガスを貯蓄していく作戦を進めていたが、夏からガス供給が減少したことで、作戦の見直しが迫られていた。

【参考】【ヨーロッパ】ノルド・ストリーム1、定期メンテナンスでガス供給停止。欧州に大きな打撃(2022年7月12日)

 今回の政策では、早急にガス消費量を減らすため、再生可能エネルギーへの転換を最優先すると名言。但し、一時的には石炭、石油、原子力発電への転換も必要となる可能性にも言及。また、オークションや入札制度により、省エネへのインセンティブを付与する市場ベースの対策が効果的とした。また、EU加盟国に対し、一時的緊急措置として、国内への補助金支給も認めるとした。具体的には、再生可能エネルギーの普及、または産業プロセスのカーボンニュートラル化の2つの分野を対象に、入札制度もしくは補助金割合の制限を設けることで、直接企業に資金供給をすることが認められた。

 また、省エネの重要な柱として、冷暖房の削減を打ち出した。その一環として、公共施設での設定温度の引下げを義務化することも促した。但し、現在欧州は異常な熱波に見舞われており、ポルトガルでは死者約1,000人、スペインでも約100人。ロンドンでは史上初めて40℃を記録した。欧州各地では大規模な山火事が発生している。

 15%削減の数値目標背景に関しては、これはロシアからのガス供給が完全に途絶えた場合でも、今冬を安全に乗り切ることができる水準と説明。削減量としては、45bcmになるとした。

 立法化に向けては、EU機能条約122条に基づく「ガスの協調的需要削減措置に関するEU理事会規則」を提案。同規則では、全加盟国に対し、2022年8月1日から2023年3月31日までの間にガス需要を15%削減する目標を設定するもの。また、欧州委員会が加盟国と協議した上で、供給安定性に関する「EUアラート」を宣言し、欧州委員会が全加盟国にガス需要の削減を義務付ける権限の付与も盛り込む考え。EUアラートは、深刻なガス不足または例外的に高いガス需要の実質的なリスクがある場合に発動することができる。

 さらに同規則は、加盟国に対し、9月末までに削減目標を達成するための国家緊急計画を改定し、進捗を2カ月ごとに欧州委員会に報告することも義務化。連帯ガス供給を要請する加盟国は、国内で需要を削減するために講じた措置を示すことも求められる。EU加盟国には、「供給安定化規則」がもともと設けられており、エネルギー危機時には加盟国間で連携することも義務付けられている。

 欧州委員会としは、先行して、協調的需要削減のための措置、原則、基準を定めた「欧州ガス需要削減計画」も採択した。同計画では、ガス需要削減による社会的インパクトを考慮する分野も示している。まず、健康、食料、安全、セキュリティ、製油所、防衛、環境サービス提供等の部門、及び重要な財・サービスに関するEUサプライチェーンを滞らせる分野での過渡な削減は抑制。また生産再開を阻害する設備の損傷も避ける。

 フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は同日、ロシア以外からのガス供給源として、米国、ノルウェーでのガス増産、さらにカタール、湾岸諸国、アルジェリア、エジプト、アゼルバイジャンからの調達増の覚書を締結したことも強調。また、2022年初頭からEU域内で再生可能エネルギー設備容量が20GW増えたことも成果として誇った。

 またティエリー・ブルトン欧州委員も同日、「代替(Substitution)」「連帯(Solidarity)」「節制(Sobriety)」の3つの「S」が重要と伝えた。

【参照ページ】Save Gas for a Safe Winter: Commission proposes gas demand reduction plan to prepare EU for supply cuts
【参照ページ】Statement by President von der Leyen on the ‘Save gas for a safe winter' Package
【参照ページ】State aid: Commission amends the Temporary Crisis Framework
【参照ページ】Substitution, solidarity and sobriety: the 3 “S” to prepare for a winter without Russian gas - Blog of Commissioner Thierry Breton

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。