欧州委員会は9月14日、強制労働によって製造された製品をEU市場で販売することを禁止するEU規則の制定を提案した。今後、EU理事会及び欧州議会との調整に入る。
今回の提案の内容は、EU域内で製造された国内消費用および輸出用の製品と、EU域外からの輸入品全てを対象。従来は、大企業や特定の産業のみでの法制化だったが、今回のルールが成立すると、大幅に対象が拡大する。
今回のルールでは、まず、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)等の国際的な基準を基礎とし、グローバル規模のパートナーとの緊密な協力の重要性を強調。その上で、EU加盟国当局は、調査に基づき、強制労働によって製造された製品をEU市場から撤去する権限が認められる。輸入に関しても、EU加盟国の税関当局は、強制労働によって製造された製品を特定し、停止させる権限を得る。
当局による権限行使では、リスクアプローチに基づき、各種の情報源を活用し、リスクを特定。強制労働によって製造されたという十分な根拠がある疑いがある製品を対象に調査を開始する。情報源には、NGO等からの情報提供、特定の製品や地域に焦点を当てた強制労働リスクのデータベース、企業が実施するデューデリジェンス情報等が含まれる。
強制労働によって製造されたことが判明した場合は、当該製品の販売や輸出が禁止される。同時に企業は、市場からの製品を撤去し、当該製品の処分までが義務付けられる。EU域外の国の企業に対しても、当該国の当局に対し協力を依頼する。
同ルールに関しては、当局の調査開始に際し、企業規模等を勘案することも規定。それにより、中小企業の状況を考慮し、大企業が優先的に調査対象となるにした。
EU理事会と欧州議会で可決すると同規則は成立・発効。その24ヶ月後に適用開始となる。欧州委員会は、同規則の発効から18ヶ月以内に、企業向けのガイドラインを発行する予定。内容には、強制労働デューデリジェンスのガイダンスや、強制労働のリスク指標に関する情報が盛り込まれる。
【参照ページ】Commission moves to ban products made with forced labour on the EU market
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