ドイツ連邦経済・気候保護省は9月21日、独エネルギー小売大手ユニパーの株式99%を取得すると発表。救済段階を一段階上げた。7月22日には企業救済策として約30%の株式保有を発表していたが、その後、ロシアからの契約上のガス供給が完全に停止し、ガス価格が高騰。ユニパーにとって大きなコスト増になったことから、新たな資本注入が必要となった。
【参考】【ヨーロッパ】ドイツ政府、ユニパーを企業救済へ。株式約30%取得。フランスではEDF国有化へ(2022年7月23日)
今回の救済は、同社からのエネルギー供給安定化法第29条に基づく安定化措置の申請が同省にあったことが根拠となっている。今回の発表では、まず、ユニパーが80億ユーロの増資を行い、連邦政府は1株当たり1.7ユーロで取得。さらに従来の親会社フォータムから、1株当たり1.7ユーロで買取り、4.8億ユーロ(約680億円)を投入する。フォータムが、出資比率変更時のオプションとして解約権を確保していた株主融資と保証枠は、ユニパーが返済・償還。流動性ギャップは連邦政府が資金を提供する。7月22日に合意した配当金禁止と経営陣の報酬制限は継続する。
さらにドイツ連邦政府は9月28日、短期省エネ措置に関するエネルギー安全保障政令の改正案を閣議決定した。2022年9月1日から2023年2月28日までの期間に適用される。まず、モニュメント等の非住宅建造物への照明が祭事を除き禁止。イルミネーションや電光広告は午後10時から翌日午前6時まで禁止。交通案内広告表示や店名表示等は例外的に認められる。スポーツ・文化イベントでの電光広告もイベント開催時を除き禁止。プールの温水暖房も禁止となった。
また同日、ドイツ連邦政府は、予備電源の調整に関する政令も閣議決定した。まず、第1予備電源としている「系統予備」に関しては、石炭火力発電を休止から系統予備電源に戻す政令が7月13日に閣議決定されており、今回、系統予備電源の要請の有効期間を延長。ガス警報または緊急事態の場合に、系統予備電源ステータスを維持できる期間を、従来の2023年4月30日から2024年3月31日まで延長できることも決めた。すでにメフラム発電所(690MW)とヘイデン4発電所(875MW)が系統予備電源となっている。これによりガス需要を抑制する。
続いて、第2予備電源としている「供給予備」に関しては、褐炭供給予備政令を閣議決定し、褐炭火力発電3基を2023年6月30日までの期間限定で予備電源にできることを決めた。合計の設備容量は1.9GW。具体的な予備電源化は発電事業者に委ねられる。発電が可能となる法的条件は、エネルギー産業法第50d条に基づき、ガス緊急事態計画に従って警報または緊急事態レベルにあること。現在は、2022年6月23日から3段階あるうちの2段階目として警報段階に入っている。2023年6月30日までにガス警報段階が解除された場合、ガス警報または緊急事態の終了後の四半期の最終日(2023年6月30日まで)まで電力市場に参加することが前提となっており、電力市場への参加が制限されている間でも電力の先渡しが可能となった。
【参照ページ】Federal Government agrees on adaptation of the stabilisation package for Uniper: Federation takes over 99% of Uniper
【参照ページ】Kabinett beschließt Anpassungen bei Energieeinspar-Verordnung
【参照ページ】Kabinett stärkt Vorsorge für den kommenden Winter: Marktrückkehr von Braunkohlekraftwerken startet wie geplant zum 1. Oktober 2022 - Netzreserve wird bis zum 31. März 2024 verlängert
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