日本政府は12月27日、食料安定供給・農林水産業基盤強化本部の会合を開催。「食料安全保障強化政策大綱」を策定した。同本部の構成は、首相が本部長、内閣官房長官と農林水産相が副本部長、18大臣が本部員。外部有識者委員はいない。
食料安全保障強化政策大綱は、食料の安定供給の基盤強化に向けて継続的に対策を講ずるための政府全体の大方針。目標を、輸入生産資材・輸入作物への依存度を低くする産業構造へ転換し、食料の安定供給体制を確立することととした。
具体策としては、2030年までに化学肥料の使用量を20%削減した上で、肥料の国産化・安定供給のため、2030年までに堆肥・下水汚泥資源の使用量を倍増し、リンベースでの肥料使用量に占める国内資源の利用割合を40%(2021年25%)へと引き上げる。同目標は、農林水産省のみどりの食料システム戦略とも符合している。また、飼料作物の国産化を推進するため、2030年までに飼料作物の生産面積を32%増やす。
他にも、水田を畑地化し、小麦・大豆等の生産へと転換。2030年までに小麦の生産面積を9%増、大豆で16%増、米粉用米188%増にする。米粉に関しては、輸入小麦の代替として期待する。食品事業者には、食料安全保障のため、国産への切替等も促す。事業系食品ロスも、フードバンク等も活用し、2030年度までに2000年比で半減し、273万tにまで減らす。
今回の会合では、農林水産相の主要政策だった「農林水産物・食品の輸出拡大」に関しても実行戦略の改訂案を提示。世界的に持続可能は食料を求める需要が増えていると言及し、輸出促進のためにも有機農業の取扱面積を増やすとした。一方、国内の食料安全保障と海外輸出促進の整合性については触れられていない。
【参照ページ】食料安定供給・農林水産業基盤強化本部(第3回)
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